2021 Fiscal Year Research-status Report
英語の感情音声の特性分析と表現力を高める指導法の検証
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21K00792
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
金子 育世 順天堂大学, 医療看護学部, 先任准教授 (00360115)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 第二言語習得 / 英語の感情音声 / 音響特性 / 表現力 / スピーキング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本人英語学習者の感情表現能力を養成するための効果的な指導法を開発することを目的とする。そのためにまず、日本人英語学習者による感情音声の習得状況および特徴を明らかにしたうえで、感情表現能力を向上させるために、シャドーイングとアクティングはどれだけの効果があるかを検証する。また、音声資料を用いた知覚実験および評価を実施し、評価結果に基づき、感情表現能力向上に繋がる指導法を考案し、英語教育への応用を目指す。 2021年度は、日本人英語学習者、英語母語話者、音声読み上げソフト(TTS)による感情音声の分析、比較を行い、感情音声の音響特性を観測した。日本人大学生、米国人ナレーター、音声読み上げソフト(TTS)の合成音声話者それぞれ6名(男女各3名ずつ)に同じ英文を読ませ、音声データを収集した。感情音声の中でも発話の感情表現効果を高めるブースター表現(booster expression)に着目し、ピッチ(F0)、強度、持続時間、発話速度の計測および分析をおこない、3つのグループを比較した。結果として、オンセット子音の持続時間、ピッチ幅(pitch range)、強度、発話速度において、3グループの間で有意差が観測され、英語母語話者が感情をどのように表現するかに、これらの音響特性が大きく寄与していることが示唆された。本研究成果はPSLLT2021(オンライン開催)において発表し、国内外の参加者から貴重なフィードバックを得ることができた。 また、感情表現や感情音声に関する文献を渉猟するとともに、国内外の学会や研究会(オンライン開催)に参加することで、知見を深めることができた。先行研究を参考にして、日本人英語学習者を対象とした新しい生成実験の内容と実施方法を考案、検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献の渉猟や先行研究の検討、実験内容や方法の考案・検討は進められたが、コロナ禍により、実験の実施及びデータ収集ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、日本人英語学習者を対象とした生成実験を速やかに実施し、感情音声の習得状況と特徴を観測するため音声データを収集する。並行して、音声データの各種音響パラメターの計測、分析を進める。また、感情表現能力を向上させるための学習法について検討を始め、検証実験のデザインに着手する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、予定していた国際学会への参加がかなわず、未使用の旅費と学会参加費が発生した。また、国内外での実験やデータ収集も実施できなかったため、謝金のための予算も使用しなかった。2021年度に予定していた実験を2022年度に実施し、未使用の旅費と謝金を使用することを計画している。
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