2023 Fiscal Year Research-status Report
日本人EFL学習者の英語産出における統語構造の複雑性の発達
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21K00805
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
道本 祐子 奈良工業高等専門学校, 一般教科, 准教授 (80624600)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 統語構造 / 複雑性 / EFL学習者 / L2学習者 / 発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
学習者のL2産出における「統語構造の複雑性」は,L2発達指標の一つとして用いられている。しかしながら、学習者の統語構造の発達はL2のスピーキングまたはライティングのいずれかから実証されることが多く,同一の学習者の両モードでの発達過程や、EFL学習者の統語的複雑性の発達がL2運用能力の指標となるのかについては明らかにされておらず、本研究では、日本人EFL学習者(高等専門学校学生)のスピーキングとライティングの両産出に見られる統語構造の複雑性と、その発達過程を明らかにすることを目標として実証研究を行っている。 本年度は、前年度に行った実験の結果をまとめて学会発表と学会誌への投稿を行い、昨年度に続く2年目の実証研究を実施した。研究発表では、昨年度の研究では、高等専門学校(高専)学生16名(16~19歳)を対象に行った実験の結果をまとめた。この実験では、スピーキングとライティングのタスクを実施し、先行研究に従って分析を行い、またTOEIC-LRテストのスコアとTOEFL-iBTの結果に照らし合わせて分析を行った。その結果、ライティングにおいて複雑性の高い文(従属節と間接疑問文)を多く産出する学習者は、二つのプロフィシエンシーテストのスコアが他の学習者に比べて高い結果を示した。しかしながら、データ量が十分ではないため、詳細な分析はできておらず、今後の分析は本年度以降への持ち越し課題となっている。 さらに、実証研究については、2022年度は本研究代表者が勤務校を異動となったため、当初の研究計画に従った縦断研究が実施困難となったため、計画を変更して横断研究を中心に縦断研究を組み合わせた実験を実施している。本年度は、日本人EFL学習者21名を対象に、スピーキングとライティングのタスクを実施してデータを取集した。現在、データ処理を行っており、分析結果が整い次第、学会申し込みを行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度に本研究代表者が勤務校を異動となり、それまでに実施していた実証研究を継続することが不可能となり、昨年度より新たな日本人EFL学習者を対象とした実証研究を開始した。これにより、また研究計画内容の変更に伴う遅れが生じている。 当初の計画では、4年間の縦断計画と1年間の横断研究(研究課題2年目)を実施する予定であったが、研究年度の2年目を終えた時点で、本研究代表者が異動となった。3年目以降は、横断研究でデータの数を確保しながら、一部の学習者の縦断研究を実施する形をとって実証研究を行っている。現時点でも、残りの研究期間を鑑みて、今年度と来年度は、横断研究のデータ量を増やしたいと考えている。 昨年実施した新たな学習者を対象とした実験の結果から、当初対象とした学習者と新たな学習者との間に、学習背景や学習環境の異なりがあることが明らかになったことが、研究計画の変更の大きな理由である。そこで、今年度は、研究計画とタスクの内容にも変更を加えて、実験を実施したが、今後も学習者の状況と、また同一分野の最近の研究動向を見ながら、横断研究を年度ごとに調整しながら実施することが効率的ではないかと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度については、まずは、上述の2023年度に実施した実証研究のデータ分析をして、その結果にもとづいて学会発表と論文投稿を行う。また本年度の実証研究を前年度に引き続き実施する。 実証研究については、上述のように横断研究を中心として、縦断研究も実施しデータ量を確保する。また、データ分析の状況と最新の研究動向を照らし合わせて、タスクの実施方法や分析の手法等、参考になるものを取り入れる。特に、データ分析の手法に関しては、可能な限りプログラムを用いて自動化したいと考えており、そのために必要なスキルや理論も身に着けていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
大きな要因としては、実証研究の参加者が当初の予定よりも少なくなったおり、人件費・謝金の総額が少なくなっている。
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