2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K00813
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
小二田 章 昭和女子大学, 人間文化学部, 准教授 (10706659)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地方史誌 / 地方志 / 編纂過程 / 比較研究 / 杭州 / 景勝 / 環境 / 水利 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「地方史誌」(ある統治領域単位の歴史を中心に行政・地理などを項目別に記した総合的書物)が各地域で共通して発生した原因と背景について考察を進め、その議論の世界史的比較の学術基盤形成を図るものである。 まず、小二田章編『地方史誌から世界史へ―比較地方史誌学の射程』(勉誠社、2023年8月)を刊行した。今年度の本課題の中心成果として、研究者と研究機関への献本を行い、各地への議論浸透を図った。 また、東アジア以外の地方史誌を考え、議論の発展を目的に、報告者主催の「東アジアのそとの地方史誌」(2024年2月27日、Zoom+昭和女子大学)、大元大明研究会主催の「一統志という物語」(2024年3月2日、Zoom+東北大学文学部)の二つのミニシンポジウムを開催し、議論を行った。前者は東アジア以外の研究者による「地方とは何か」を考える議論を行い、後者は近世日本とヴェトナムの研究を「一統志」で結びつける試みを行った。 さらに、昭和女子大学国際文化研究所主催の研究会「近代以降の周辺諸国の対中国観」(2023年11月9日、於昭和女子大学)にて、「中国の「そと」を描く地方志」を報告し、中国において編まれた「海外を地方として描く書物:外域志」を紹介し新たな研究の方向として位置付けたほか、同大学歴史文化学科主催の文化史学会大会(2023年12月9日、於昭和女子大学)にて、「地方志を「抄する」ということ」を報告し、中国の地方志研究の紹介と大部の地方志を抄写することの背景について解説を行った。 加えて、フィールドにしてきた中国の杭州という都市と景勝地・西湖について、2023年度歴史学会大会シンポジウム(2023年12月3日、於日本大学経済学部)にて「「水利から観光へ ―中国・杭州の西湖管理における近代と自然開発」」として発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定より編著『地方史誌から世界史へ』の刊行が遅れたため、続編の刊行が次年度9月にずれ込むことになった。円安の過剰な進行と、コロナウィルス感染問題以降の中国の渡航時ビザ要求により、海外調査や研究交流・文献調査が困難であり、本課題の費用は「地方史誌研究の起点となる編著の編輯・周知に関する費用」に集中して振り当てることにしたため、その続編により最終的な成果としたい。 加えて、長らく目標となっている「単著刊行の準備」、また投稿して再投稿を図っている「論文の刊行」がまだ完成していない。 さらに、報告者が再び所属を変更し、新所属への着任に伴う様々な用務による負荷が大きく、それも進捗の遅れに関わった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウィルス問題の影響、また所属の変更などもあり、まずは続編となる編著『地方史誌研究の現在2(仮)』(勉誠社、2024年9月刊行予定)の編輯・配布に注力し、無事に完了させたい。 また、前研究課題からの課題である「英語誌刊行」も出来る限り今年度中に完了させたい。これも含めて、口頭発表を昨年度行った研究成果を、なるべく論文として刊行していきたい。 これらの主編・主催項目以外でも、国内の資料・文献を出来るところから整え、研究計画の基礎としていくことで、十分な成果に繋げていきたい。
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Causes of Carryover |
年度内に予定していた論文集の続編刊行が、前編である論文集『地方史誌から世界史へ』の刊行遅れに伴い、次年度にずれ込んだため、その編集及び刊行に関わる費用が次年度に持ち越しとなった。これらは次年度の該論文集発行に伴い、主に執行されるものとなる。
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Research Products
(8 results)