2021 Fiscal Year Research-status Report
An integrated study on the transformation of Ainu society after the battle of Koshamain
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21K00820
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
秦野 裕介 立命館大学, 文学部, 授業担当講師 (20719653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 章敏 函館工業高等専門学校, 一般系, 准教授 (10348500)
中村 和之 函館工業高等専門学校, 一般系, 特命教授 (80342434)
山本 けい子 函館工業高等専門学校, 一般系, 准教授 (90402221)
寺門 修 函館工業高等専門学校, 物質環境工学科, 准教授 (90402487)
三宅 俊彦 淑徳大学, 人文学部, 教授 (90424324)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | コシャマインの戦い / 出土銭貨 / ビッグデータ / 遺物の成分分析 / 新羅之記録 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は文理融合型研究として文献史学・考古学と科学的分析を通じて従来明らかにならなかった十五世紀の北海道の歴史を明らかにすることを目的とする。 科学的分析としては一括出土銭を様々な手法を使って分析することを一つの柱としている。具体的には3D計測や成分分析を様々な手法で行うことを試みた。それによって道南地区における一括出土銭のより正確な時代の特定と、それによって和人の拠点が維持されていた時期を推定することが期待できる。 本年度は道南で出土した涌元古銭と上雷古銭の科学的手法による分析を行った。まずは放射光利用による古銭の成分分析について、放射光では難しいという指摘を受け、パルス中性子ビームを利用することを検討している。3D計測については様々な手法を試して最も適した方法を確認している最中である。そしてXRF(蛍光X線分析計)は涌元古銭について測定が終了し、現在はそれを分析している最中である。科学的手法はまだ手探り状態である、というのが現状である。 文献史学の方では従来北海道中世史の唯一と言って良いと言われてきた『新羅之記録』に頼らない史料分析を目指し、京都や関東の史料の中で北海道について触れられた史料の分析を中心にしている。まずは『新羅之記録』の史料批判のために『新羅之記録』に現れた館主と呼ばれる和人の領主の来歴を分析した。成果の刊行は4月上旬となった。また新しい史料を探すために、コシャマイン戦争前後に北東北と室町幕府の仲介役となった伊勢氏の史料の収集、北東北・北海道地域の大勢力となった南部氏についての史料の分析を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献史料の分野では十五世紀にとどまらず、前後の時代を幅広い視野で見直し、同時に『新羅之記録』の分析についても京都の史料との照合などを行った。一方成分分析についてはコロナ禍もあり、移動制限によって必ずしも予定通りに進まないことも多かった。
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Strategy for Future Research Activity |
文献史料の収集と分析は引き続き進める。次年度はコシャマイン戦争に先行する時代の室町幕府の対北海道政策について分析しまとめる予定である。それによってコシャマイン戦争の背景などが明らかになると考えている。 また出土銭貨の分析では日高町賀張の古銭を3D分析することを考えている。そして古銭の分析がある程度進んだ段階でそのデータをビッグデータの手法を用いて解析することを考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍によって予定されていた調査のための旅費の執行があまりできなかったことが大きい。 次年度はコロナ禍の収束状況を睨みながら、引き続き文献史料や考古資料の収集のみならず、コロナ禍のために延期されていた分析や調査を行っていきたい。
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Research Products
(8 results)