2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K00833
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
鈴木 則子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (20335475)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 疫病 / 日記史料 / コレラ / 疱瘡 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は新型コロナウイルス感染症の影響で予定していたフィールドワークを実施することはできなかったが、活字史料やネット公開史料を中心的に活用しながら研究を進めた。その結果、学術論文1本、学会発表および市民向け講演計11回を通じて研究成果を内外に発信することができた(学会発表の内一回は国際学会である)。 このなかの論文「安政五年コレラ流行をめぐる<疫病経験>-駿州大宮町桝屋弥兵衛の日記から」(『歴史学研究』(1011号、2021年7月)は、本研究課題の主要テーマである「疫病経験の復元」をテーマに執筆したものである。本論文を通じて日記史料の分析に基づいて個人的疫病経験を辿ることにより、一口に安政五年のコレラ禍といっても、従来の研究蓄積が比較的多い江戸とは異なる、地方の疫病経験の状況を明らかにするとともに、同じ地域でも共同体、家、そして個人によって様々な経験があることを明らかにした。ことに個人の経済力や教養、そして情報ネットワークのありようによって疫病の受け止め方や対処法が異なることも示した。 また、上記駿州大宮町に近い駿州蒲原宿渡邉家の日記史料の分析を進めた。枡屋弥兵衛の日記と渡邉家の日記に登場する疱瘡の記録を比較検討することを通じて、本科研研究課題の二つ目のテーマである、地域や家の経済力による疫病経験の差について、より詳細かつ具体的に明らかにすることができた。この研究成果は2022年4月刊行の単著『近世感染症の生活史~医療・情報・ジェンダー』(吉川弘文館)のうちの一章として社会に還元する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記したように、2021年度は学術論文1本、学会発表および講演計11回を通じて研究成果を内外に発信することができた。2022年4月には関連する単著の刊行も実現した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りの研究方法によって、「研究実績の概要」および「現在の進捗状況」に記したように、すでに一定の成果を上げることができた。したがって、今後も課題申請時の予定に沿って研究を遂行していくこととする。なお、2021年度はフィールドワークが実施できなかったので、2022年度は新型コロナウイルス感染症の拡大状況をみながら、できるだけ現地調査を進めたい。
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Causes of Carryover |
本年度は新型コロナウイルス感染症流行によって出張が制限され、現地調査がまったくできなかったために、旅費とそれに伴う諸経費が一切生じなかったので、予算を多く繰り越す結果となった。
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Research Products
(5 results)