2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K00850
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三宅 正浩 京都大学, 文学研究科, 准教授 (30612303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木土 博成 京都大学, 文学研究科, 助教 (10737456)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 幕藩領主 / 政治意識 / 近世大名 / 世代差 |
Outline of Annual Research Achievements |
近世成立期(16世紀末~17世紀)の幕藩領主の「政治意識の世代差」を把握し、そこから政治構造の転換の歴史的諸段階を解明して提示するという、本研究の目的に基づき、本年度は以下のような内容について研究を実施した。 まず、幕藩領主全体の世代差について把握するため、近世大名の基本データを入力してデータベース化する作業を進めた。この作業については全体の半分程度が完了しており、次年度にひとまず完成する予定である。 次に、今後の研究の見取り図を描く作業として、研究代表者が書評や研究展望のかたちで先行研究を把握しつつ、現時点で考えていることをラフスケッチしたものを提示した。その結果、当初の見通し通り、16世紀末の豊臣政権から徳川政権への移行期、および17世紀半ばの三代将軍徳川家光期から四代将軍徳川家綱期にかけての時期の二つの時期が、幕藩領主の「政治意識の世代差」を考える上での特に重要な画期となることが確認できた。今後、特にこの二つの画期に注目しつつ、分析を進めていることが重要であると考えている。 また、研究代表者および研究分担者がそれぞれ進める個別事例研究では、徳島藩蜂須賀家および薩摩藩島津家についての具体的な分析をおこなった。その成果については、次年度以降に公表していく予定である。 今年度のもっとも大きな成果は、研究課題に基づく武家諸法度などの法令史料の分析による成果として、「武家諸法度と諸士法度―末期養子の禁緩和を手がかりに―」と題した論考を学会誌上で発表できたことである。これは、本研究の現時点での到達点を示すとともに、今度の研究計画の基礎となる研究成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により、当初予定した通りの出張などによる史料調査は実施できなかったが、そのかわりに刊行史料集やインターネット上のデータベースからの史料収集を優先して実施したので、全体計画に大きな支障はない。 現時点までの研究成果については、論文・研究展望・書評などのかたちで公表することができ、着実に研究が進展したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね当初計画通りに進めるが、新型コロナウイルス感染症の今後の動向をふまえつつ、史料調査計画を中心に研究計画を適宜修正しながら研究を遂行する予定である。 次年度は、本年度開始した近世大名データベースの完成を目指しつつ、個別事例研究の基礎データとなる蜂須賀正勝・家政文書の収集・整理を開始する予定である。 次年度の研究進捗状況をふまえつつ、次々年度以降の研究および最終的な研究目標の達成に向けて、史料収集およびデータベース入力を着実に進め、同時並行で個別事例の分析を行うことにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症蔓延の影響により、当初計画していた出張による史料収集を次年度以降に延期した。かわりに刊行史料集やインターネット上のデータベースからの史料収集を実施することに伴う人件費や図書購入費を増額して調整した差額として生じたのが次年度使用金である。次年度以降、感染症の状況を勘案しつつ、出張費に充当して使用する予定である。
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Research Products
(7 results)