2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K00851
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
長谷川 博史 島根大学, 学術研究院教育学系, 教授 (20263642)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 尼子氏 / 大内氏 / 石見銀山 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、(1)分裂から統合へ向かう16世紀日本列島における大きな時代の転換や、西日本周辺海域を含む列島諸地域の動向のなかに、尼子氏を位置づけなおし、尼子氏の急激な盛衰の背景や要因、ならびに尼子氏が時代の転換に果たした役割や意味を明らかにすること、(2)あらためて尼子氏関係史料を博捜し、未確認であった史料の調査を行い、尼子氏関係史料集の補遺を公開して尼子氏研究の基盤整備を行うこと、を目的とする。 このうちの(1)に関しては、とりわけ尼子氏が勢力を拡大した16世紀前半において、石見銀山の発見が、中国大陸沿岸における新たな動向のなかで、西日本海海域にどのような影響を及ぼしたのか、また、石見産銀がもたらした東アジア海域全体に及ぶ変化の様相が、尼子氏の盛衰とどのように関連していたのかを明らかにするため、あらためて大内氏による石見銀山の開発・支配が、山陰地域に与えた影響について検討した。具体的には、石見銀山研究会において「大内氏からみた石見銀山」について招待講演の形で研究報告を行い、その内容を『石見銀山研究』創刊号に掲載した。また、この時期の中国地方を検討するためには、尼子氏と大内氏が相拮抗し、多くの諸勢力を巻き込んだ二大勢力対立の構図が、なぜどのようにして形成され、いかなる性格を有していたのかを明らかにする必要がある。そのため、両者が直接対決した大内氏による出雲国遠征についての再検討を進め、大内氏による出雲国遠征が西日本の広い範囲に影響が及ぶ、時代を画する戦争であったことを具体的に明らかにするとともに、尼子氏盛衰の要因を追究した。その内容は、島根県古代文化センターの公開講演「西日本の戦国争乱」において一部を報告した。 (2)については、これまでに収集した史料の整理を中心に作業を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的(1)は、16世紀前半における西日本諸地域の動向のなかに尼子氏を位置づけなおすことをめざしているため、当初の計画では、令和3年度に山陽地方・山陰東部・北陸地方の各地を調査先として研究情報の収集を図る予定であったが、調査を予定していた時期に感染症の急激な拡大が重なり、島根県と鳥取県西部を除き、全く動くことができなかった。そのため、すでに把握している歴史資料情報と研究情報を再検討する作業を中心に進めた。 研究目的(2)は、尼子氏関係史料を博捜し、未確認であった史料の調査を行い、尼子氏関係史料集の補遺を公開して尼子氏研究の基盤整備を行うことをであり、令和3年度には山陽地方・山陰東部・北陸地方の各地を調査先として歴史資料情報の収集を図る予定であった。しかし、調査を予定していた時期に感染症の急激な拡大が重なり、島根県と鳥取県西部を除き、全く動くことができなかった。そのため、すでに把握している歴史資料情報を整理する作業を中心に進めた。 以上のような事情により、研究全体の状況としては、作業の遅れを否めない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度に実施できなかった山陽地方・山陰東部・北陸地方の各地の調査を中心に実施する。また、令和4年度に実施予定であった九州地方北部・瀬戸内海地域の各地の調査、および歴史資料収集のための調査については、可能な限り実施する。いずれも、所属機関の行動指針に従い、日程を工夫して実施したい。 あわせて、尼子氏の動向とその要因や背景に関する検討、石見銀山や大内氏をはじめ西国諸勢力の動向とその要因や背景についての検討を、さらに進める。歴史資料情報の整理についても並行して作業を進める。 以上を通して、全体的な作業の遅れを、できる限り取り戻したい。
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Causes of Carryover |
令和3年度に山陽地方・山陰東部・北陸地方の各地を調査先として歴史資料や研究情報の収集を図る予定であったが、調査を予定していた時期に感染症の急激な拡大が重なり、ほとんど動くことができなかった。島根県内や鳥取県米子市内の史料調査を行ったが、自家用車を用いたこともあり、また今後の経費を確保しておくため、旅費として使用することはしなかった。そのため、令和4年度に先送りした調査を実施するために、必要な経費を繰り越した。
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Research Products
(4 results)