2021 Fiscal Year Research-status Report
20世紀前期日本の地方都市協議機関研究に基づく地方都市史の新展開
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21K00868
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中村 元 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (20710346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 啓 神奈川大学, 国際日本学部, 准教授 (00779986)
畔上 直樹 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (20315740)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 都市史 / 地方都市 / 都市協議機関 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の初年度である2021年度の課題の一つは、「北信十市」が20世紀初期の段階で共に直面していた課題について、従来の都市史研究の成果を踏まえながら検討することであった。この検討に際しては、従来の都市史の成果を十分に把握することが不可欠である。この点に鑑みて、研究代表者の中村元は、2021年12月15日の首都圏形成史研究会シンポジウム「「首都圏」の形成と地域政治」で、20世紀前期都市史研究に関する発表を行い、都市史を専門とする多くの研究者と議論し、都市史の最新の論点を検討した。また、『港区史 近代下巻』での戦間期から戦時期の担当・執筆を通じて、当該期の都市史研究の現状と課題を改めて確認した。また研究分担者の大川啓は、共編著で明治中後期の地方都市秋田市における地域福祉を検討することを通して、都市史と福祉史の接点を考察した。 2021年度のもう一つの課題は、本研究が対象とする地方都市、具体的には新潟市、高田市、富山市、高岡市での史料調査であった。しかし後述する通り新型コロナウイルスの感染拡大が持続し現地調査が困難であったため、2021年度には各自のこれまでの研究蓄積を生かして、当該期の対象都市に関する研究を進める上での論点を明確化する研究を行った。研究代表者の中村元は、2021年11月14日の第9回歴史地震史料研究会での発表「20世紀前期新潟地方測候所の地震観測」で、当該期の新潟市の課題の一つとしての災害に関する認識の一端を確認した。またこの点と関連して、共編著で災害史料について検討を行った。研究分担者の大川啓は、共著で現在の富山市にあたる旧富山県東水橋町の米騒動について検討し、当該期の富山市や高岡市を研究する上でも重要な論点を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、北信各市聯合協議会に即しその実態を解明すると共に、そこでの議事等から当該期に協議会に参加していた地方都市、その中でも特に、新潟市、高田市、富山市、高岡市が直面していた課題を具体的に検討することを課題としている。 2021年度には、既に調査を終えている新潟市以外の三市において、協議会に関する史料及び同時代の行政史料や市会史料等の関連史料に関する基礎調査を実施する予定であったが、 新型コロナウイルス感染拡大の持続により県をまたぐ移動を伴う史料調査に大きな制約がかかったため、進捗はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、まず2021年度には新型コロナウイルス感染拡大の持続により実施が困難であった高田市、富山市、高岡市における協議会に関する史料及び同時代の行政史料や市会史料等の関連史料に関する基礎調査を実施する予定である。 また、新潟市が所蔵している『北信各市聯合協議会綴』の分析を進め、北信各市聯合協議会そのものの性格をより明確にしていくほか、この史料の検討から抽出される当該期の各都市の課題をふまえ、本研究の対象である新潟市、高田市、富山市、高岡市に関わる新たな視角からの検討を進める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由の第一は、2021年度は新型コロナウイルス感染拡大が持続したため、県をまたぐ移動を伴う地方都市現地での史料調査が実施できず、旅費が執行できなかったことが挙げられる。この点については、2022年度以降、現地での調査が可能となった段階で、効果的な執行を計画している。 理由の第二には、研究全体を統括するために新規のPCの購入を計画していたが、この購入費用が他の研究費で確保できたことが挙げられる。これによって生じた予算上の余裕は、関連文献の購入や追加調査など研究の進展のために一層効果的に使用する計画である。
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Research Products
(6 results)