2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K00869
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
黒田 智 金沢大学, 学校教育系, 教授 (70468875)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 歴史図像学 / 宝物論 / 真宗寺院 / 加越能地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
福井県あわら市吉崎願慶寺の文化財調査を3回実施した。総点数1000点ほどの古文書・文化財類と推測され、半分弱の調査を終えた段階である。嫁脅しの肉付き面や18世紀後半の日記類、絵図、懸幅縁起絵など、中世吉崎御坊の歴史を考えるための貴重な史料群が陸続と判明しつつある。 昨年度に調査を行った富山市芝園2丁目町内会所蔵「木造愛宕地蔵像」と南砺市苗島神社所蔵戸板の成果を元にした「苗加次郎右衛門の怪力譚」(『砺波散村地域文化研究所研究紀要』39 号)を公表、また昨年度の講座の内容をもとに「熊坂大仏と松龍寺千体仏」(『日本歴史』897号)を発表した。さらに、金沢市埋蔵文化財センターによる真宗関連史料調査に参画し、金沢市善性寺、同善福寺の調査を実施した。 そのほか、堀新・井上泰至編『家康徹底解剖』(文学通信)に「「四戦」という徳川のロア」を執筆、「資料紹介 金沢市立玉川図書館所蔵『西尾隼人大坂陣大聖寺陣覚書』」(『人間社会環境研究』43 号 吉田航志・小西洋子・高遠らとの共著)、さらに「絵画史料の読み方 肖像の髭と年齢」(『日本学研究』33輯 社会科学文献出版社)に中国語版を公表した。金沢大学・北國新聞社共同事業の市民公開講座「金沢学」で「犀川の雨と風」と題する報告を行なった(於北國新聞社)。金沢市本龍寺所蔵の奈良絵本「さよひめ」の輪読界を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、予定していた寺社の調査が頓挫しているものの、あわら市郷土歴史資料館とも連携して、あわら市吉崎願慶寺の悉皆調査に着手している。そのほか調査成果に関する勉強会、論文集刊行等、堅調に成果をあげつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
あわら市吉崎願慶寺の悉皆調査の完了をめざす。また、金沢市本龍寺所蔵「さよひめ」の全文翻刻・紹介を行なう。加えて、本科研の種々の調査で発見された史料群の分析・読解を進める。論文集『水の表象、水災の記憶(仮)』(勉誠出版)を刊行する予定である。
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Causes of Carryover |
3月調査による謝金(勤務時間)に過不足が生じたため。
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Research Products
(5 results)