2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K00887
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
村上 正和 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (90736787)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 清朝 / 政治史 |
Outline of Annual Research Achievements |
18世紀末から19世紀にかけての嘉慶帝・道光帝による統治を、官僚からの政策提案や民間からの陳情、告発などの受け付けに着目して検討していった。本年度はまずは研究の基盤となる嘉慶年間・道光年間の上諭、清実録、起居注、奏摺、題本といった各種の史料の収集を重点的におこなった。また、嘉慶年間の清朝中央で政策決定にかかわっていたと考えられる政治家の文集も一部ではあるが取り寄せて調査することができた。論文を執筆できるだけの一定の成果はあったものの、文集の調査などはまだ不十分な点もあるため、来年度以降も基礎的な史料調査は継続して実施していきたい。こうした史料調査・分析と並行して、論文執筆を進めていった。具体的には、嘉慶帝の言路政策を嘉慶四年の親政開始とともに始まった政治改革の一環として位置づけて、同時期の諸政策にも目配りしながら、嘉慶帝がどのような皇帝像を構築し、示そうとしたのかという視点から検討した。嘉慶帝は親政を始めた直後、それまで乾隆帝の下で権勢を誇っていたヘシェンを排除して、幾人かの中央・地方の政治家を失脚させるとともに、改めて自身と側近が主導する政治体制を構築していった。この頃の清朝は長引く白蓮教の反乱や沿岸部の海賊問題などに苦慮していたが、嘉慶帝が統治を再編していくためにはこれらを鎮圧するだけではなく、多種多様な建言や訴えを受け付ける皇帝像を作り上げ強調することが必要だったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
史料の収集・分析を予定通りにおこない、論文執筆を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度もこれまで同様に関連する史料の収集・分析を実施し、論文を執筆していく。
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Causes of Carryover |
国内外での史料調査を延期したため、次年度使用額が生じた。来年度以降に使用していく予定である。
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