2021 Fiscal Year Research-status Report
The Process of the "sinicization" and "frontierization" of Yunnan in the 14-15th century BCE.
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21K00888
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
林 謙一郎 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (20294358)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 明代雲南史書 / 南詔野史 / 地方志 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は本研究課題を遂行するための基礎的作業として,明代雲南に関する文献史料の収集整理を行った。本来予定していた中国雲南省における現地調査がコロナ禍のため実施不可能となったため,すでに収集済みの図書,国内外の図書館がWEB上に画像公開している資料などを活用して,『南詔野史』の三種のテクスト(淡生堂本・王崧『雲南備徴志』本・胡蔚増訂本),およびそれと比較検討の対象とする『南詔源流紀要』『テン(テンはさんずいに真,以下同じ)載記』『テン略』の校訂および電子テキスト化を基本的に完了した。 この作業と並行して,近年の国内外の研究におけるこれらの史書の扱いについて調査を行ったが,その中で比較的注目度の高い連瑞枝氏(台湾)の研究においては,『南詔野史』および『テン載記』を明中期の文人楊愼の作として,楊愼が明中期の雲南における歴史伝承の再構成に大きな役割を果たしたと述べている(この研究はChrisitan Daniels,Ma Jianxiongらの英文論考にも引用されている)。しかしながら,両書はいずれも楊愼の名を冠してはいるものの,実は彼の実作ではないことは,1980年代にすでに雲南大学の故方国瑜教授が論証していることでもある。したがって,この二書の雲南地方文化の「中国化」における位置づけについては,改めて詳細な検討を行う必要がある。この点を含めて,明代雲南における史書の編纂に関する論考を現在準備中であり,研究の第二年度に公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上にも書いたように当初から予定していた中国雲南省(昆明・大理)における現地調査,および現地の研究者との交流が困難な状況が継続しているため,十分な文献資料,情報の収集が実現していない。また上記の通り今年度整理を行った史料のテキストについては筆者の運営するWEBサイトで公開する予定であるが,同サイトに掲載した史料が他サイトに無断引用される例が近年見られており,掲載法について再検討の必要があり,現状では公開に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究には雲南地方各地に残された明代の碑文(その一部は出版されつつあるが,未出版のものも少なくない)を実地調査することが本来必要不可欠であるが,現在の状況を鑑みるに,本課題の第2年度(令和4年度)においても実地調査を実現できる可能性は高くない。そこで,次年度においても第1年度に行ったような史書の校訂・テキスト化の作業をさらに推進するとともに,碑文等の資料については,雲南在住の研究者(研究代表者の知人,および元指導学生を含む)に協力を依頼して情報収集を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により予定していた中国雲南省における実地調査が遂行できなかったことにより,外国旅費が未使用であったために生じた額である。また現在,日中間の航空運賃が高騰しており,第二年度以降に中国における実地調査が実現した際には,当初計画で計上している外国旅費では不足する可能性が高いため,この額はその不足を補填するために用いる計画である。
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Research Products
(1 results)