2023 Fiscal Year Research-status Report
トルコにおける伝統的美意識の変遷と「辺境化」の過程についての文学(史)的基礎研究
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21K00889
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮下 遼 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 准教授 (00736069)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | トルコ文学 / オスマン帝国史 / トルコ文学(史) / 美学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は本研究「トルコにおける伝統的美意識の変遷と「辺境化」の過程についての文学(史)的基礎研究」のうち研究の第三段階である、近世末期から近代初期にかけての文学論についての書誌学的、および理論的分析を行う年度に位置づけられ、その成果を近世末期のオスマン語神秘主義文学の傑作として知られるシェイフ・ガーリプ作『美と愛』を臨詩の観点から分析するとともに、古典文学のリテラシーが喪失したトルコ共和国におけるオスマン語→現代トルコ語「翻訳」における特徴を抽出した「ディーワーン詩における信仰と創作:シェイフ・ガーリプ『美と愛』の翻訳を巡って」、および帝国末期を起点として21世紀に至る現代トルコ文学の展開を、文学史研究において広く受け入れられている認識にも配慮しつつ通覧した「現代トルコ文学の100年:正典的通史の試み」という2点の学術論文として刊行することができた。とくに後者に関しては、これまで日本語化されたことのないトルコ文学についての小通史として、当該研究分野の発展にも寄与するものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先述のとおり、2点の学術論文として規程の研究遂行項目を実施することができた。 その反面、本務校における同僚の死去に伴う学務負担の増加によって、当初夏季に予定していたイスタンブールへの海外調査を実施することができなかった。これについては2024年度夏季に順延して実施することで補う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、本研究の第四段階であるトルコ現代文学における美意識形成を民族主義(的)文学の形成期を主たる考察対象として窺う予定であり、当初予定したとおりに研究進捗状況にある。ない先述のとおり、2023年度に行い得なかったイスタンブールへの海外出張を実施する予定である。
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