2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K00890
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
萩原 守 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (20208424)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | モンゴル法制史 / 清朝 / 監獄 / フレー / 蒙古例 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、長引くコロナウィルス問題によって、モンゴル国での文書調査を実施することができなかった。また、国内での学会も、同じ理由によってほとんどが遠隔開催となって直接参加することはできなかった。ただし、そのため出張旅費が国外国内共に不要となり、研究費の大部分を書籍や消耗品の購入費、法典のマイクロ複写製本費等に充てることが可能となった。それによって結果的に、必要な書籍を一年目にそろえることができたため、今後の書籍購入費は少額ですむと思われる。 また、フレー監獄に関する文書調査もコロナ問題発生直前の2019年秋にその大部分を完了させていたため、本科研にとっては、コロナウィルス問題は致命傷にはならないという幸いな見通しを持つことができている。具体的に2021年度には、監獄管理問題にもつながる社会史研究の一つとして、以前から計画していた「18世紀末外モンゴルの事例から見る人身売買と婚姻」という論文を書籍の中に掲載発表する事ができた。これは18世紀末の外モンゴルで実際に起こった一家無理心中事件である「ダシジドの事件」の裁判過程において明らかになった複数の女性人身売買事例と婚姻事例とを比較研究した論文である。次はこのような社会史と法制史とを共存させる手法で、監獄管理の問題に着手したい。 一方、想定外の問題としては、私自身が神戸大学を定年よりも1年早く退職して、2022年4月から摂南大学法学部に移籍するということになった。完全に想定外の事態ではあるが、フレー監獄の管理運営実態を解明するという研究面に関しては、これまた大きな改編は必要ない。ただ、新しく移籍した大学の事情に応じて、2022年度には新しいノートパソコンや新しいプリンターを購入する必要が生じる見通しである。書籍類はその一部を神戸大学から摂南大学に譲渡してもらうことが可能になったため、大量購入の必要はなさそうである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウィルス問題からの影響をあまり受けることなく、ほぼ順調に史料整理や論文執筆が進んできたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
必要な書籍類の購入や満洲文法典類のマイクロ複写・製本等々がほぼ完了したため、いよいよフレー監獄そのものの研究に着手する。必要な公文書史料はほぼそろっており、残っているのは、ロシア軍の作成したロシア語地図を細かく検討する作業や、監獄の残された古写真を収集する作業である。また、新しく移籍した先の大学の事情に応じて、ノートパソコンやプリンター類を今年度、本科研の費用で新たに購入する予定である。
|