2021 Fiscal Year Research-status Report
人口の流動化および東部ユーラシアの視野を踏まえた六朝建康都市空間の復原研究
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21K00895
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
小尾 孝夫 大東文化大学, 文学部, 准教授 (90526675)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 建康 / 人口流動 / 東部ユーラシア / 都市空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、過去の南京における六朝時代の墓葬の発掘情報を、『文物』『考古』等の考古雑誌等より収集してきたが、2021年度までにひとまず2019年までの情報を記録し終えた。2022年度は、引き続きこれ以降の情報を収集し、収集を終え次第、それら諸情報の整理・分析に着手する。この作業を通じて、六朝時代の各時代における建康の郊外の範囲を跡づけ、各時代の建康の都市空間の実相を明らかにしていく。 また当該年度は、共訳書・李憑著『北魏平城時代』京都大学学術出版会を公表した。本書は、本科研と密接に関わる4~6世紀における北魏平城政権史を考究した名著である。 なお、当該年度には、国内において藤原京の調査をも行った。藤原京は、隋唐の長安ではなく、南朝建康の都市設計の影響を受けていた可能性がある。本調査では、建康と藤原京との共通点・相違点を確認する上で貴重な知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍による影響が大きい。その最たるものとして、研究計画時に予定した南京調査を実施することができなかったことがあげられる。これにより、南京における最新の考古学成果の情報等を収集できず、建康城関連の施設や六朝墓の出土地の景観的な考察も行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、これまでの南京における六朝墓葬の発掘情報の収集を終え、それら諸情報の整理・分析を行っていく。この作業を通じて、当該年度においては、呉から東晋時代における建康の郊外の範囲を跡づけ、当該時代の建康の都市空間の実相を明らかにしていく。また、建康およびその周辺のどこに僑民のための僑州郡県が設置されたかや、建康に流入した僑民が建康のどのような地域に居住したかを継続して解明していく。 なお、2022年度もコロナ禍のため南京調査を行えないことを想定し、当該年度は南京の研究者に当地の六朝墓葬や建康関係遺跡の発掘情報等の提供を積極的に求めていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により南京調査実施や国内学会参加のための旅費を予定通り使用することができなかったため。 2022年度もコロナ禍が続く可能性があることから、資料の整理や分析等のための費用を充実させていく予定である。
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[Book] 北魏平城時代2021
Author(s)
李憑著 劉可維・小尾孝夫・小野響訳
Total Pages
391
Publisher
京都大学学術出版会
ISBN
978-4-8140-0371-6