2021 Fiscal Year Research-status Report
A study of view of life and death and the underworld and their ideological and religious background in Ancient China by excaveted relics
Project/Area Number |
21K00904
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Research Institution | The Toyo Bunko |
Principal Investigator |
関尾 史郎 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (70179331)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 鎮墓瓶銘 / 磚画・壁画 / 墓券 / 文字磚 / 柩銘 / 中国古代 / 河西地域 / トゥルファン地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で分析の対象とする遺物と文書のうち,情報や成果が続出している魏晋・〈五胡十六国〉時代の鎮墓瓶と磚画・壁画に関して,最新情報を収集して整理し,その結果を内外に公表することを第一の作業とした(いずれも2021年度発表済み).またそのうちで注目すべき鎮墓瓶としては,初めて発見された魏の敦煌型鎮墓瓶があるが,その銘文が後漢と西晋の過渡的なものであることを明らかにし,その考察結果も公表した(2022年度公表済み).また磚画・壁画については,性差や種族差による社会的分業の内容について図像から分析し,これらが出土した河西地域における社会状況の一端を明らかにし,その考察結果を公表した(2022年度公表済み).以上は遺物だが,文書である墓券については,後漢時代から三国時代の事例を収集して整理し,その時代的な変遷と,華北(黄河流域)と華中(長江流域,主として江南)による地域差について考察した.地質や地形の関係で,華中では耕地に隣接する場所を墓域に選定できず,丘陵地に墓域が集中する傾向があるが,それがために土地の売主はおらず,土地の売買契約は架空のもので,やがて5世紀になると,それを継承するかのようにして,道教信仰を象徴するような墓券が出現することを推定し,その結果を公表した.また華中の墓から出土した文字磚や柩銘についても考察した.文字磚は2世紀後半のもので,その史料的な価値をはじめ,作製に関与した人士やその真情の一端の解明を試みた.また河西・トゥルファン両地域の2世紀から5世紀にかけての墓から出土した柩銘については,史料紹介としてまとめ,その様式のおおよその変遷過程をあとづけた(いずれも2022年度発表済み).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初,2021年度には随葬衣物疏の資料集の編集を企図していたが,これは新型コロナウィルス感染症のために,香港における調査ができず,進捗していない.また同じ理由で,西北出土文献研究会を対面形式で開催することができず,成果を報告して批判を受けることができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症は,香港を含む中国全土における感染拡大の様相を呈しており,2022年度も調査の実現可能性は低い.したがって最悪の場合は,調査を断念して,随葬衣物疏の資料集の刊行を急ぎたい.なお未構築だった研究室のホームページについては,2021年度新たに開設したサイトで代用し,まとまった成果はPDFで本サイトにアップし,研究の進捗状況については,日常的にブログにアップする.
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Causes of Carryover |
2021年度に予定していた香港における調査を,新型コロナウィルス感染症のため断念・中止したため.
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