2023 Fiscal Year Research-status Report
戦後日中関係史の再検討:国共双方の対日工作の展開と中国人団体・中国関連団体の役割
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21K00910
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
荒川 雪 (王雪萍) 東洋大学, 社会学部, 教授 (10439234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山影 統 海上保安大学校(海上保安国際研究センター), 海上保安国際研究センター, 准教授 (60766690)
井上 正也 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (70550945)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 在日中国人団体 / 中国関連諸団体 / 中国国民党 / 日本共産党 / 中国共産党 / 中華人民共和国 / GHQ / 日中関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度では、過去2年間で収集した史資料のデータベース化を行い、さらに史資料の追加調査を行った。収集した資料の分析を通じて、以下の点が明らかにした。 第1に、在日中国人留日学生の統一団体である中国留日同学総会(以下:同学総会)の会員は大陸、台湾、そして華僑と、様々な出身地の留日学生が、いずれもコミュニケーション可能な言語が中国語ではなく、日本語であったことが分かった。一部の台湾出身学生及び華僑学生は、中国語の方言は使えても、共通言語である国語は全く話せず、中国語の読み書きもできなかった。そのため、1953年の在日中国人の集団帰国以降、中国語が分からない華僑学生の中国語レベルを向上させるため、『中国留日学生報』(以下:『学生報』)は、中国語のまま記事を掲載するなどの方策を取った。中国語学習関連記事に関する分析から、同学総会の執行部は当初、中国人として中国語が話せないことは恥ずかしいことと強調し、学習に励ませようとしていたが、1953年以降はさらに踏み込み、祖国への敬愛の念を込めて国語を学習し、帰国して国家建設に参加しようと呼びかけるようになった。第2に、『学生報』の結婚に関する記事や文学作品に関する分析を通じて、中国政府の「婚姻法」の公布・施行と日本社会の変化を背景に、自由恋愛による結婚は1950年代の留日学生、華僑子弟のなかでも一般的になってきたことが明らかになったが、在日華僑の先輩や、同学総会の執行部、『学生報』の編集者は、自由恋愛による結婚は、国際結婚即ち中国人と日本人の結婚を避けるべきであり、すでに数多く行われた国際結婚の傾向が是正されるべき現象であるかのような姿勢が見受けられた。それも将来日本で中国への協力業務参加、あるいは帰国し新中国の建設に参加するために中国人同士の結婚を推奨した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
日中関係の悪化により、中国側の関係者へのインタビューは予定通り実施できなかった。そのため、中国側で予定していたインタビュー調査の代わりに、関係者は新聞、雑誌、書籍に公刊した回想録を収集した。回想録の収集及び整理の作業は予想より時間がかかった。日本及び台湾で行うインタビュー調査はほぼ完了したが、テープ起こしの作業は予定より時間がかかったため、まだ作業は終了していない。以上の理由より、本研究の調査はまだ完全に完成していなく、最終成果の分析、まとめの作業も遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、昨年中国での実施できなかったインタビュー調査を再度挑戦したい。年度前半にインタビュー調査は実現できる場合、速やかにテープ起こし作業を行う。また、昨年度収集した史資料と回想録をデータベース化して、グループ内で共有する。さらに昨年度実施したオーラルヒストリーのテープ起こしの作業を完成させ、研究成果をまとめる予定である。各地の研究メンバーによる研究成果をまとめ、昨年度に開催できなかったワークショップを本年度に開催し、最終成果の公刊を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度の研究費は90万円ほど残っていた。それは予定していた旅費と史資料整理・テープ起こし作業のアルバイト代であった。昨年度ワークショップは開催できなかったため、中国と台湾の研究者の来日費用は未使用であった。次年度では、未完成の史資料整理、データベース化作業、テープ起こし作業を行い、ワークショップを開催するこことで研究費の消化ができると考えている。
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Research Products
(39 results)