2021 Fiscal Year Research-status Report
Sports and the YMCA in Early 20th-century South America: Beyond the "Civilizing Mission"
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21K00919
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
松尾 俊輔 明治大学, 法学部, 専任講師 (70847475)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | YMCA / 南米 / スポーツ / 帝国主義 / 文明化 / アルゼンチン / ウルグアイ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、ウルグアイ及びアルゼンチンのスポーツや宗教に関する研究を渉猟し、20世紀初頭の近代スポーツ黎明期における各国でのYMCAの関わり方や、世俗化の過程、カトリックとプロテスタントの関係など、本研究にとって有益な知見を蓄積することができた。ただし、新型コロナウイルスの影響もあるのか、特に南米からの書籍取り寄せに時間がかかっており、一部はまだ目を通すことができていない状況である。 また、YMCAの世界展開の歴史についても、古典的な団体史叙述から最新の研究書までの主要な文献に目を通し、先行研究をまとめた上で、本研究の位置づけとそれが提供しうる貢献について、明確化した。とりわけ、YMCAが宗教的・文化的・人種的な彼我の「差異」を大前提としながら活動を展開した東アジアの事例との比較において、本研究が扱う南米の事例は旧来とは異なる視座を提供できるものと確信した。他方で、とりわけYMCAの古い団体史研究に現れる南米関連の叙述はしばしば一面的で表層的なものにとどまっているため、今後は現地の資料を十分に発掘しなければ、具体的に当地のYMCAがどのような意図のもと組織運営を行い、また市民や公的機関とどのような関係性を築いたのか、なかなか実像が掴めない点に困難を感じている。 また、アルゼンチン・ウルグアイ・ブラジルの3か国におけるスポーツ研究を牽引する3名の研究者とオンラインで打ち合わせを行い、本研究の内容に関しても有意義な意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
YMCAの世界展開に関する先行研究については、古典的な団体史叙述から最新の研究書までの二次資料に目を通し、一定の見通しを立てることができた。 一方で、ウルグアイ及びアルゼンチンのスポーツ史や宗教史に関する二次資料については、新型コロナウイルスの影響もあるのか、特に南米からの書籍取り寄せに時間がかかっており、いまだ予定していたほどの文献を渉猟できていないため、次年度以降に継続して検討を続ける必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらなる二次資料の検討と並行して、アルゼンチンとウルグアイの両国におけるYMCAに関する一次資料の渉猟・検討を進めていく。 ただし、新型コロナウイルスに関わる諸状況に鑑みて、渡航制限等のために海外(米国、ヨーロッパ、南米)での資料調査を十分に行うことが難しい状況が続く可能性も考慮しなければならない。その場合、過去の研究において各国で渉猟した手持ちの一次資料の活用、また現地の書店・古書店からの郵送での直接購入、オンラインでのアーカイブ資料の閲覧といった方策で代替することが必要となるだろう。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響もあり、南米からの書籍取り寄せに時間がかかっており、年度内に納品されなかったため。次年度に引き続き使用する予定である。
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