2023 Fiscal Year Annual Research Report
古代末期西方セナトール貴族のローマ支配離脱過程 ー内戦の分析を通じて-
Project/Area Number |
21K00922
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
小坂 俊介 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (10711301)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ローマ帝国 / 古代末期 / ガリア / 教会会議 / 司教 / トゥールのマルティヌス / 内戦 |
Outline of Annual Research Achievements |
計画の最終年である今年度には、大きく3点の研究成果を得た。 1)407年から411年までガリアを支配した皇帝コンスタンティヌス3世と、彼によるガリア南部教会政治への介入を、その司教人事に注目して考察した。前年度に遂行した、教会会議決議録およびローマ司教書簡の分析成果に加え、年代記・編年記史料の新たな校訂版および聖人伝史料の分析を行なった。その結果、従来説における事件の時系列を訂正し、司教人事の背景となる380年代以降のガリア教会政治の内実を精緻に構築できた。 2)4世紀以降の帝国において、皇帝の意思決定を左右し得た組織である「コンシストリウム」をめぐり、2世紀から6世紀の文献史料にあらわれる「コンシストリウム」という語の用例を分析した。コンシストリウムはセナトール貴族を含むエリート層が皇帝と面会し、儀礼を通じて両者の関係性を構築・確認する場であった。しかしその実態については未解明あるいは議論の分かれる事柄が多い。「コンシストリウム」の語は皇帝の側近集団からなる会議を指すと一般に理解される一方、その会議が開催される部屋を指す言葉でもある。本研究は「コンシストリウム」の語が空間的語意を語の初出時から6世紀に至るまで保ったことを指摘し、今後の実態解明のための展望を示した。 3)6世紀の歴史家ヨルダネスの作品『ゲティカ』の翻訳・註釈作成を行なった。ゴート人とローマ帝国との接触、およびいわゆる「3世紀の危機」を語る67節から130節までの翻訳・註釈を公刊できた。今年度は131節からの4世紀以降にかかわる叙述の翻訳と註釈作成を進め、ヴァンダル人による北アフリカ征服を語る部分までを読解した。この成果を次年度以降公刊するべく作業を進めている。
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