2021 Fiscal Year Research-status Report
イタリア中世都市の市民概念に関する動態的研究――周縁者から見る
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21K00923
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中谷 惣 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (10623390)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 市民権 / 外国人 / 高利貸し / 追放者 / イタリア都市 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中世イタリア都市の市民概念を、市民の輪郭部に位置した周縁者(外国人、高利貸し、追放者)に焦点を絞り、彼らがどのように諸権利を享受し、また剥奪されたのかに注目して動態的に解明するものである。初年度である今年度は、最新の先行研究、特に欧米で進められている中世都市の市民権に関する研究や、周縁者に関する研究を幅広く検討し、実証研究の土台となる理論的視座の構築に努めた。 都市ルッカにおける外国人、高利貸し、追放者の存在を、リスト系資料や裁判記録を基に把握した。外国人については、1356年の法廷調査と1366年の服従宣誓時に作成されたリストから、出身地や職業などの基礎データや人口動態を整理した(Archivio di Stato di Lucca, Capitoli 55;Curia dei Rettori 21)。追放者は、罰金徴収用に作成された追放者リストから、その人数や復帰までの期間を明らかにした(Archivio di Stato di Lucca, Sentenze e bandi, 540)。高利貸しについては、当初、課税台帳やアルテ資料を基に明らかにすることを考えていたが、そこからは一部の者しか発見できなかったため、司教裁判所の裁判記録などのデータ(Archivio Diocesano di Lucca, Curia civile, 16, 19, 85, 86)を基にさらなる検討を行った。 これらについて、関西中世史研究会において「市民から高利貸しへ:イタリア中世都市の経済、倫理、司法利用」(2011年11月20日、Zoom)というタイトルで報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、すでに収集していた史料を基に研究を進めることができた。当初予定していた史料からは、思うようなデータを収集ができないこともあったが、他の史料を分析することで補うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、イタリアに渡航し、ルッカ文書館やプラート文書館において、公証人文書や裁判記録、議会議事録等を収集、分析し、周縁者の権利の獲得とはく奪の状況を実証的に明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、予定していた現地調査員による史料調査の実施が一部不可能になったため。2022年度には、その分の史料調査を追加で実施する。またそれと関連する文献も収集する予定である。
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Research Products
(1 results)