2022 Fiscal Year Research-status Report
イタリア中世都市の市民概念に関する動態的研究――周縁者から見る
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21K00923
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中谷 惣 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 准教授 (10623390)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 外国人 / イタリア / クレジット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、共同体メンバーの縁で、市民と非市民とを行き来する周縁者の諸権利の享受とはく奪の実態を、トスカーナの都市ルッカを対象に検討するものである。本年度は、ルッカに滞在していた外国人(他都市出身者)の身体や財産の法的保護や経済的権利について検討した。特に、Curia dei Rettoriの裁判記録を基に、外国人が関与した裁判分析した。この法廷の裁判記録は1328年から1367年までの間に30冊残されていたが、分析の結果、1340年代後半から、この法廷が外国人が関与する裁判に限定されるようになっていたことが明らかになった。その背景には、当時ルッカを間接統治していたピサの都市政府からの指示が1347年に書簡で伝えられたことがあった。そこで、史料の保存状態のよい期間である1367年の上半期を対象により詳細に民事裁判を検討した。この半年間で235件の訴えが略式で起こされていたことが確認できた。その内容は、貸付、家賃、売買に伴う債務に関してであり、外国人同士での案件、外国人がルッカ人を訴える案件、ルッカ人が外国人を訴える案件のそれぞれがあった。彼らは、フィレンツェやピサ、ピストイア、ペッシャ、プラート、サン・ミニアートなど近隣都市から来て、主に手工業に従事していた外国人であった。こうした外国人は、債務不履行時の債権回収という法的保護を受けることができたことで、同業者間や同郷者間で貸付や賃貸などの契約を安心して結ぶことができていたことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた史料を分析することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、外国人の分析をさらに進めるとともに、高利貸しについてもルッカ司教座附属文書館所蔵の資料を用いて検討する。
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Causes of Carryover |
今年度前半には新型コロナの影響で現地文書館での調査ができなかったため。また今年度の後半に本基課題と関連する国際共同研究加速基金を利用し、文書館で資料収集を行ったため、当初支出予定であった旅費を使わずに、本課題の研究を進めることができたため。次年度には、イタリアに渡航し文書館でさらに調査を行う予定である。
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Research Products
(2 results)