2021 Fiscal Year Research-status Report
CSCE人権レジーム形成過程での西欧市民社会の異論派支援活動と世論・政府への作用
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21K00926
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松井 康浩 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (70219377)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | CSCE / ヘルシンキ最終議定書 / ソ連異論派 / 西欧市民社会 / Karel van het Reve / Peter Reddaway / Stephen Spender |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、全欧安保協力会議(CSCE)の成果文書=ヘルシンキ最終議定書(1975年8月)に盛り込まれたいわゆる人権条項の挿入に尽力した西欧諸国政府代表の粘り強い交渉の背後に、ソ連の異論派の活動と、それを支えた西欧市民社会の各種の実践や世論が存在していたという仮説をもとに、それを実証的に明らかにすることを目的としている。具体的には、英国とオランダを本拠地として活動した西側の異論派支援者3人(S・スペンダー、P・レッダウェイ、K・レーヴ)の活動や事業が、両国の世論、政府の首脳や外交当局にどのような影響を与えたのかを、(1)先行研究の検討、(2)英国やオランダの新聞・雑誌の分析、(3)アーカイヴ資料の渉猟と分析を通じて解明する。 2021年度は、パンデミック下で海外出張が困難なことがあらかじめ予想されたため、これまでに蓄積された数多くのCSCE研究の中から関係する情報を渉猟すること、および国内の図書館が所蔵する英国やオランダの新聞・雑誌の閲読を通じて、関連情報を収集することを予定した。しかし、それらを所蔵する大学図書館が感染状況ゆえに学外者のアクセスを制限し、所蔵資料の閲覧室での利用をほぼ認めていなかったため、予定した作業を実施できなかった。したがって、2021年度は、過去の研究活動によりその概要を把握していた西側支援者による異論派文献の出版事業を、近年研究が盛んな「文化冷戦」の文脈で整理する作業に集中し、今年度に執筆した「ソ連の異論派と西側市民の協働:揺らぐ冷戦構造下の越境的ネットワーク」の原稿の一節「CSCE人権レジーム形成への影響」にその知見を反映させるにとどまった。なお、この原稿は、『世界歴史』全24巻(岩波書店)の中の第23巻に掲載される予定である(2023年刊行予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
パンデミックによる感染状況が改善しない可能性を考慮して、今年度は海外出張による資料調査を予定に入れず、日本国内の関係資料所蔵図書館での調査を行う予定にしていた。しかし、日本の感染状況も芳しくなく、日本の大学図書館の大半が、学外者の図書館在室利用を認めない状態が続き、国内での資料調査を行うこともできなかった。また、2021年度から所属部局の長に選出され、日々管理運営業務中心の生活を送らざるを得ず、研究に割ける時間が大幅に失われた。以上の理由もあって、本研究の進捗としては「遅れている」状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
資料調査を行うことなしに研究成果を出すことは困難なため、館内利用を認めている国会図書館の所蔵資料を利用して、研究を実施することを予定している。海外出張が可能な状況になれば、アムステルダムの国際社会史研究所のアーカイヴ、ロンドンのビショップゲイト図書館、その他で資料集調査をおこなう。国内の大学図書館の利用が可能になれば、名古屋大学が所蔵する関連の新聞の閲読を実施する。
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Causes of Carryover |
パンデミックによる感染状況がいまだ改善せず、資料調査を予定していた図書館などへの訪問ができなかった。そのため、旅費の利用が極めて限定的であったため、次年度への繰越額が大きくなった。
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