2022 Fiscal Year Research-status Report
Imperial philanthropy: Joint Council of Europeans and Africans in pre-Apartheid South Africa
| Project/Area Number |
21K00927
|
|---|
| Research Institution | Hosei University |
|---|
Principal Investigator |
大澤 広晃 法政大学, 文学部, 准教授 (90598781)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
| Keywords | フィランスロピー / 南アフリカ / アフリカ / イギリス / イギリス帝国 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
２０２２年度は、（１）本研究の課題にかかわる先行研究の収集とその批判的な読解をしつつ、既に収集済みの一次史料の読解と分析を行った。並行して、（２）これまでの研究の成果をまとめて、学会で報告するとともに、（３）単著の出版に向けて執筆作業を進めた。
（１）本研究の主題は、２０世紀前半の南アフリカ農村部における貧困およびそれと密接にかかわる諸問題を把握しつつ、そうした問題に対してアフリカ人の救済を掲げていたヨーロッパ人・アフリカ人協議会（以下、協議会）がいかなる姿勢を示したのかを検討することにある。史料や二次文献の分析を通じて、農村部におけるアフリカ人の貧困が、出稼ぎ労働を主軸とする労働制度や、就業可能な職や労働のための移動を管理していたパス法およびカラーバー、課税を通じた労働の間接的強制といった諸要素と密接不可分の関係にあることが分かってきた。また、そうした問題に対して、協議会は、農村部の開発やカラーバーの撤廃、アフリカ人労働者の賃上げなどを主張する一方で、都市部にアフリカ人が集中することで生じる諸問題（賃金低下や異人種間の混淆など）を懸念し、一定程度の人種隔離を肯定していたことが明らかになってきた。
（２）以上のような成果をまとめ、第９１回社会経済史学会全国大会（２０２２年５月）で報告を行った。これは、近代イギリスにおける不自由な労働を考察することを目的とした科研グループによるパネルセッションだが、報告内容の一部は本科研の研究成果である。
（３）並行して、本科研での研究内容も盛り込んだ単著の出版を準備しており、（１）や（２）の成果も取り込みながら執筆作業を進めた。４章（予定）からなる本論部分のうち、２章分の草稿を書き、出版社に提出した。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響で、予定していた海外の文書館で史料調査を実施できなかったことの影響は大きい。加えて、２０２２年度は非常に負担の重い学内の役職に就いており、想定していた研究時間を確保できなかった。これらの結果、研究はやや遅れていると結論せざるをえない。
|
| Strategy for Future Research Activity |
上でも述べた通り、COVID-19の影響や学内業務の負担もあり、昨年度は思ったよりも研究を進めることができなかった。しかし、今年度は事態が落ち着き、また、役職業務からも解放されたため、昨年度よりも研究に時間を割くことができる見通しである。そうした想定のもとで、まずは海外の文書館で史料調査を実施し、関連する史資料の調査と分析に力を注ぎたい。
研究成果の公刊については、昨年度の学会報告をベースに、そこに新たな知見を加えることで、論文にする作業を進めている。出版の目途もおおむねついており、２０２３年度内に刊行される予定である。加えて、本科研の成果も盛り込んだ単著についても、引き続き執筆を進めていきたいと考えている。
|
| Causes of Carryover |
COVID-19に伴う海外渡航の規制、および、学内での役職業務のため、予定していた海外文書館での史料調査が実施できなかったため。本年度は、社会状況が改善し、役職業務からも解放されたので、計画書に記しながらも未実施であった海外での調査を行うことで、研究費を使用したい。
|
Research Products
(1 results)
