2021 Fiscal Year Research-status Report
The Duke of Burgundy and Flemish City Government Finance in the 15th century
Project/Area Number |
21K00945
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
畑 奈保美 東洋大学, 人間科学総合研究所, 客員研究員 (60302064)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | フランドル / ブルゴーニュ宮廷 / 都市財政 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、中世ヨーロッパの都市的地域フランドルに、ブルゴーニュ公の宮廷の影響力がどのように及び、都市社会がどのように変化していくのかを、フランドルの主要な宮廷所在都市ブルッヘの都市財政、とりわけ都市によるブルゴーニュ公やその宮廷のための支出から考察する。2021年度は、すでに収集した史資料からブルッヘ都市財政の問題点を抽出するとともにフランドルを含む南ネーデルラント地域の諸都市の財政・会計について最近年の研究状況の整理に着手したが、コロナ禍もあり新しい資料の入手に時間がかかるなど、予定通りにはいかなかった。また、本研究において主要な史料となる都市ブルッヘの会計帳簿群について次年度以降に予定するベルギーでの現地調査の準備を始めた。一方で、ブルゴーニュ宮廷と都市ブルッヘを考えるには、ブルゴーニュ公およびその家族(とりわけ、影響力の強い公妃たち)、金羊毛騎士団など側近の貴族、聖職者たちの活動やブルッヘ以外の宮廷所在地にも注目する必要があり、2021年度はまず、ブルゴーニュ公ジャン・サン・プール(位1404-19)およびフィリップ・ル・ボン(位1419-67)に仕え、ブルゴーニュ宮廷で活躍したフランドル貴族ユーグ・ド・ラノワの多面的な活動、およびブルゴーニュ女公マリー(位1477-82)の活動について整理した。前者については次年度以降、書物の一章として発表する計画である。後者については2022年度において『ハプスブルク事典』の一項として発行が確定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度に国内の学会・研究会に参加して近接分野の研究動向などの情報を得たり、関係文献を所蔵する他大学図書館で調査をしたりする計画は、新型コロナウイルスの流行拡大の影響で縮小・変更しなければならなかった。また、中世フランドル地域の諸都市の財政・会計について最近年の研究状況を整理するため、海外の図書を入手していく必要があったが、新型コロナウイルスの流行拡大の影響で手配に時間がかかった。そして、前期学期と後期学期の当初の新型コロナウイルスの流行拡大により教育面のリモート対応に追われたため、当該研究へのエフォート率を予定より下げざるを得なかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、中世フランドル地域諸都市の財政・会計についての研究状況の整理を引き続き行っていくとともに、今までの研究で収集した史資料から、ブルッヘ都市財政の問題点を抽出する作業を進める。並行して、ブルゴーニュ宮廷とりわけブルゴーニュ公フィリップ・ル・ボンと公妃イザベル・ド・ポルテュガルの活動と都市ブルッヘとの関わりを整理する。年度後半の間にベルギーに渡航し、文書館での史料調査、ベルギーの研究者からの情報収集、図書館での関係文献の収集を行うことで、研究を推進する計画だが、ヨーロッパでの新型コロナウイルス対応は緩和の傾向にあるもののロシアの軍事侵攻の影響など注視して、計画の実施可否を検討したい。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、新型コロナウイルスの流行が続いたこともあり海外書籍の調達が遅れたこと、また、国内の学会・研究会がオンライン開催になったり調査のための出張をとりやめたりしたことによる。今年度は、前年度に入手できなかった海外書籍を購入するとともに、ベルギーに渡航し、文書館での史料調査、ベルギーの研究者からの情報収集、図書館での関係文献の収集を行う。
|