2023 Fiscal Year Research-status Report
ヴァイマル期における性科学研究所の展開―労働運動・ジェンダー・地域の視点から―
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21K00949
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Research Institution | Tsuda University |
Principal Investigator |
星乃 治彦 津田塾大学, 言語文化研究所, 研究員 (00219172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 宏昌 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (00790669)
福元 健之 福岡大学, 人文学部, 講師 (70802255)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ドイツ / ヴァイマル期 / 性科学 / 労働運動 / ジェンダー / 地域 / 日独比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
星乃は、ドイツの性科学研究所が及ぼしたグローバルな影響として、ほぼ同時代の日本に注目し、日独比較へと展開し、映画監督小津への関心を強め、一連の論考としてまとめ上げた。学会報告としては、2023年12月10日に奈良女子大学で開催されたジェンダー史学会第20回大会の自由論題報告で「明治期『男の契り』の諸相」を発表した。 福元は、昨年度『王のいない共和国の誕生』と『医師の「献身」』という単著を刊行した。前者は、中世以来から君主のいる政体の続いてきたポーランドにおいて、いかに近代的な共和国が成立したのかを主題にしながら、1918年10月から11月にかけて起こった各地の労働運動の果たした役割に注目した。また、『医師の「献身」』では、ポーランドの知識人としての医師専門職集団に焦点を当て、育児をめぐるジェンダーについても論じた。従来この問題は、民族問題やナショナリズムとの関連で論じて来られたが、当該研究では、人々の生活にまで踏み込んだ社会史的考察ができた。 今井は2023年度は、国内では明治学院大学図書館(東京)でのマイクロ史料「NSDAP Hauptarchiv」の調査をおこなったほか、ドイツでは、フライブルクの連邦・軍事文書館、ミュンヘンのバイエルン州立中央文書館、アウクスブルク州立文書館で、パラミリタリ(準軍隊)組織に関する未公刊史料を、それぞれ閲覧・収集できた。その成果は、左右双方のパラミリタリ組織経験者の間に芽生えた「友情」を扱った論文「ヴァイマル末期における『赤い伯爵』と労働者世界」(『ドイツ国民の境界』所収)や、パラミリタリ組織の政治化問題を扱った論文「ドイツ義勇軍運動の残照と『第三の国』」へと結実した。また衣笠太朗『ドイツ帝国の解体と「未完」の中東欧』の書評を通じ、ドイツ・ポーランド境界地域におけるパラミリタリズムの問題を論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去におけるコロナ禍の影響を乗り越え、各自一方では国内外の必要資料の収集を進める作業を行いながら、各自着実に論文の公表につなげていっている。方向性として星乃は、設定されたテーマのうちとくに、ジェンダーや地域の問題を意識しながら、新たな方向性として日独比較・交流、日本の小津安二郎への関心を強めている。 福元はポーランドにおいて、いかに近代的な共和国が成立したのかを主題としており、1918年10月から11月にかけて、社会主義者とそれに呼応した各地の労働運動の果たした役割を論じるとともに、ポーランド知識人としての医師専門職集団に焦点を当てて、育児をめぐるジェンダーについても論じている。従来の東欧史研究では民族問題やナショナリズムが取り上げられてきたが、当該研究では、人々の生活にまで踏み込んだ社会史的考察ができた。 今井は2023年度は、国内では明治学院大学図書館(東京)でのマイクロ史料「NSDAP Hauptarchiv」の調査をおこなったほか、ドイツでは、フライブルクの連邦・軍事文書館、ミュンヘンのバイエルン州立中央文書館、アウクスブルク州立文書館で、パラミリタリ(準軍隊)組織に関する未公刊史料を、それぞれ閲覧・収集できた。その成果は、左右双方のパラミリタリ組織経験者の間に芽生えた「友情」を扱った論文「ヴァイマル末期における「赤い伯爵」と労働者世界」(『ドイツ国民の境界』所収)や、パラミリタリ組織の政治化問題を扱った論文「ドイツ義勇軍運動の残照と「第三の国」へと結実した。また衣笠太朗『ドイツ帝国の解体と「未完」の中東欧』の書評を通じ、ドイツ・ポーランド境界地域におけるパラミリタリズムの問題を論じている。
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Strategy for Future Research Activity |
全体としては、当初立てた柱に沿って各自研究を積み重ねていくと同時に、研究成果を積み重ねていく。さらには、広く社会に発信する意味から、シンポジウムを企画したいと思う。 星乃に関しては、研究方向が日本史の分野にまで入り込んでいるが、当初の問題関心の延長として、日独比較という観点から、引き続き日本の小津安二郎を中心とした業績を積み重ねていくこととする。 福元は2024年度は文献収集を継続するとともに、海外への渡航調査に従事する。ポーランドおよびドイツの文書館を訪問し、現地の研究者と意見交換を行う。その成果を踏まえて、研究報告を行い、論文を執筆する。 今井は、2024年度引き続きドイツでの調査をおこなう。主な目的は、ヴァイマル期の中部ドイツ、とりわけテューリンゲン州で活動した左右のパラミリタリ組織に関する史料の閲覧・収集であり、ヴァイマルのテューリンゲン州立中央文書館を中心に訪問する。またその成果を学会・研究会で報告し、学術誌にも投稿する。
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Causes of Carryover |
2023年度に当初予定されていた福元のヨーロッパ出張が、都合がつかず、次年度送りとなった。従って2024年度は福元と今井の2名がヨーロッパへの史料蒐集に行くことになる。
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Research Products
(14 results)