2021 Fiscal Year Research-status Report
New perspectives on the Yayoi burial mounds of the central Kibi region as seen through representational artifacts
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21K00955
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
光本 順 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (30325071)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 弥生時代 / 吉備 / 弥生墳丘墓 / 形象遺物 / 三次元計測 / 蛍光X線分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、弥生時代の形象遺物群に着目し、吉備中枢の弥生墳丘墓の果たした歴史的意義を追究することを目的とする。この目的に沿い、2021年度は、岡山大学考古学研究室が1983年から1985年に発掘調査を行った岡山市雲山鳥打弥生墳丘墓群出土の形象遺物について、基礎的整理を進めた。雲山鳥打については、正式報告書が未刊な現状にあり、本研究の対象となる家形土器と鳥形土器についても、後者の一部を除き未報告資料である。本研究の着想のきっかけであり、研究の鍵を握る資料として初年度の研究対象とした。 研究は、雲山鳥打に関し、調査時の図面等の検討と、多量の出土土器の中から該当する形象遺物を探索する作業から開始した。本研究の主な対象である家形土器については、複数個体が存在するものと考えるが、薄手で、かつ精良な粘土からなる複雑な立体構造物となる。そのため通常の土器復元のように、家形土器の破片資料を接着剤で接合し、破片が見当たらない部分を石膏等で補填することに困難な側面もあった。こうした状況から、当初から本研究の方法として採用していたSfM写真計測の手法を破片資料に適用し、破片ごとに三次元データ化した上でソフトウェアにおいてそれらを接合する方法を試行した。また、複数個体が存在する家形土器と鳥形土器に関して、ハンドヘルドの蛍光X線装置を用い、胎土に関する理化学的情報を取得した。こうした雲山鳥打に関する基礎的研究は、2022年度以降の岡山県内外の形象遺物群に関する研究の基礎となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、研究の出発点でもある岡山市雲山鳥打弥生墳丘墓群の形象遺物に関する整理・研究が主眼である。それがおおむね順調に進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
岡山市雲山鳥打弥生墳丘墓群の形象遺物に関する研究を基礎として、岡山県内外の資料の実見と分析を2022年度から2023年度にかけて順次実施していく。 2022年度については、弥生時代の各地の家形土器および岡山地域におけるその他の形象遺物群の研究を実施する。特に本研究の中心的な分析対象資料である家形土器について、外部機関において実見とSfM計測、ハンドヘルドによる蛍光X線分析を優先して進めたい。こうした作業を最終年度の2023年度まで継続することで、弥生時代の形象遺物群の実態解明に寄与するとともに、形象遺物群からみた吉備地域の歴史的意義に関し、分析・考察を適宜進める予定である。
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Causes of Carryover |
資料整理のための人件費を予定していたが、新型コロナの状況下において学生アルバイトを雇用することが難しかったため。またSfMソフトウェアによる処理作業も実施可能なノートパソコンの購入も計画したが、2021年度残額では支出が厳しい状況であったため。
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Research Products
(1 results)