2021 Fiscal Year Research-status Report
3次元計測データを活用した古墳出土銅鏡の鏡背文様製作技術に関する復元的研究
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21K00965
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
宇野 隆志 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 主任研究員 (80739144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 克朗 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 准教授 (70235646)
清水 康二 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 指導研究員 (90250381)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 銅鏡 / 製作技術 / 前期古墳編年 / 3次元計測データ / 副葬品 / 埴輪 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度に実施した研究実績の概要は以下のとおりである。 (1)銅鏡資料調査の実施 コロナ禍による種々の制限がある中で、研究分担者とともに複数の銅鏡所蔵機関において資料調査を実施した。実施方法は、熟覧、写真撮影、3次元計測であり、多くの観察所見を得ることができた。資料調査は、1回の行程で複数の所蔵機関で実施できるように調査計画の立案に工夫した。熟覧は、微細な鋳造欠陥を含む製作技術上の痕跡を確認するための基礎作業であり、特に入念に多くの時間を費やした。写真撮影および3次元計測で取得したデータは、調査時に得た観察所見の検証に使用するとともに、研究成果公表のための基盤データとなる。本研究目的に位置づけているように、3次元計測データは、研究成果公表時に提示する図版や画像において、より客観性のある実証的なデータとして使用するもので、本研究に必要不可欠なものである。 (2)研究成果公表に向けての作業実施 資料調査で得た成果物の整理作業として、銅鏡観察記録のデータ化、撮影写真の整理、3次元計測データの編集をおこなった。いずれも専用ソフトウェアを利用して、研究成果公表のための基礎データとした。現在、調査所見を踏まえた研究成果として、鏡笵再利用技法の復元に関する投稿論文を作成している。本文の執筆作業とともに、上記基礎データをさらに編集・加工して図版の作成を実施している。特に3次元計測データは、専用ソフトウェアのの解析を通して、複数の銅鏡資料の断面形状比較や平面形の重ね合わせなど、複数のデータ比較検討に利用している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の最中ではあるものの、可能な限り資料調査をおこない、銅鏡製作技術の調査所見の蓄積に努めた。 しかし、コロナ蔓延地域に所在する機関の所蔵資料については、引き続き対象とすることが困難であったため、当初計画での見込みに比較して調査成果の蓄積は十分でない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度も、三角縁神獣鏡のうち未調査資料を優先的に、さらには同型鏡群や後漢鏡、魏晋鏡も対象に加えながら、資料調査を精力的に実施する予定である。また、古墳から出土する他の副葬品や埴輪も検討対象としつつ、資料調査を経て得られた新たな所見を踏まえ、既存の前期古墳編年についても検証を加えたい。 上記の過程で重要な成果が挙がれば、学会発表や学術誌への論文投稿等により、その都度成果公表に努めることとする。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症の影響等に伴い、蔓延地域への資料調査に制限を受けたことにより、調査実施の回数が当初予定よりも少なくなったことが次年度使用額が生じた主要な原因である。令和4年度では、コロナ禍の状況を踏まえながら、より計画的に多くの資料調査を実施する予定である。 また、3次元計測データの解析用ソフトウェアの導入を検討している。
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