2021 Fiscal Year Research-status Report
弥生時代における石器生産・消費システムの学際的再検証
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21K00970
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
森 貴教 新潟大学, 研究推進機構, 助教 (30775309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柚原 雅樹 福岡大学, 理学部, 助教 (30330898)
月山 陽介 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00533639)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 弥生時代 / 石器 / 立岩遺跡 / 石材原産地 / 材料解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、弥生時代の代表的な石器生産遺跡である、福岡県飯塚市立岩遺跡群における石器生産の実態解明を目的として、学術発掘調査ならびに高校所蔵の未報告の採集資料を用いて学際的な研究を実施するものである。具体的には、岩石学・地球科学的分析による立岩系石庖丁の石材原産地の推定、材料解析・マイクロ/ナノ表面物性分析による石器石材の材料工学的背景の解明、実験考古学的手法を用いた石庖丁の機能・操作方法の推定を予定している。 初年度にあたる2021年度は、2年目以降に実施予定としている学術発掘調査に向けて、既刊の発掘調査報告書を用いて遺跡情報を収集したほか、各種の理化学的分析方法の検討を行った。新型コロナウィルス感染症のまん延防止などの観点から県外への移動が制限されたこともあり、新潟県内の遺跡出土資料などを用いて可能な範囲で予備的検討を進めた。 また、福岡県内在住の研究分担者・協力者により、立岩遺跡群の踏査を行い、遺跡の現況について確認した。さらに、今後の岩石学・地球科学的分析のため、立岩系石庖丁の使用石材である泥岩などについて、八木山川周辺(脇野亜層群)において岩石サンプルを採取し、試料の調製を進めている。10-11月には、山形県天童市西沼田歴史公園実験水田および愛知県あいち朝日遺跡ミュージアム実験水田にて、複数の石材による復元石庖丁を用いたイネの収穫実験を行い、石庖丁の操作方法や効率性に関するデータを得た。 以上のように2021年度は、今後の研究のための準備と事前調査を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の影響により、まん延防止の観点から県外への移動・訪問は慎重になされるべきとの要請があり、発掘調査のための事前打ち合わせや資料調査がほとんどできなかった。また、各種の理化学的分析に供するための高校所蔵資料についても、借用の手続きに入ることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
①現地踏査と事前打ち合わせを早急に行い、立岩遺跡群の学術発掘調査の実施計画を立てる。1週間程度の調査期間で小規模のトレンチ調査を予定している。 ②未報告の高校所蔵資料について借用の手続きに入り、各種理化学的分析を推進する。岩石学・地球科学的分析では、2021年度に八木山川流域で採取した岩石サンプルとの比較を行う。 ③新型コロナウィルス感染症の影響は今後も想定され、県をまたぐ移動の自粛など、制限が強化されることも予想される。その際は、資料を借用した理化学的分析や実験考古学的研究など、屋内で可能な研究内容を充実させる。また、オンライン会議を積極的に活用して研究分担者・協力者の意見交換を行う。
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Causes of Carryover |
測量機材としてトータルステーション(トプコン製GM-105)の購入を予定していたが、代替機器が使用可能となったため残額が生じた。また、新型コロナウィルス感染症の影響による移動自粛で、多くの学会はオンライン開催となったため国内旅費の使用も予定より少なくなった。 2022年度は、現地調査のための国内旅費で繰越金も含めて使用するほか、遺跡発掘調査補助として学生への謝金を予定している。
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Research Products
(7 results)