2021 Fiscal Year Research-status Report
The formation and foundation of the urban regional-system in early Chinese dynasty - Utilizing GIS in Archaeological study -
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21K00976
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
西江 清高 南山大学, 人文学部, 教授 (10319288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 展也 中部大学, 人文学部, 准教授 (10365497)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 中国初期王朝時代 / 中原王朝 / 考古学GIS / 地理考古学 / 王都 / 都城圏 / 畿内的地域 / 集落分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、前二千年紀の黄河中流域に登場した初期国家である中原王朝(「夏」、殷、周王朝)の政治圏、文化圏の成り立ちを、王都(首都)を中心とした王朝政治圏内外の集落間関係という視点から描きだそうとするものである。その際の「王都」とは、本研究では従来の都城研究のように宮殿・宗廟・工房・墓域・城壁(囲壁)といった諸要素が集中した狭い核心空間だけを指すのではなく、その周囲の農耕地、自然資源、交通路、軍事的地点などを含む一定の「地域」的基盤(研究代表者が提唱する「都城圏」概念)を指すものと考えている。本研究は、中原王朝の中心地たる王都(首都)を、「都城圏」という「地域」の概念で捉えなおすことから研究を出発させる。その上で、中原王朝全体の政治圏、文化圏を構成する地理的空間として、研究代表者が提唱する「畿内的地域」「二次的地域」「外域」という同心円的な3重の構成を念頭におきながら、王都(都城圏)を中心として近隣・遠隔の諸集落・地方拠点を結び付け、ひと・もの・情報の流動を実現した交通路ネットワークの実態を復元することで王朝の政治圏、文化圏の成り立ちを考察する。 2021年度は、中国初期王朝時代早期の「夏」王朝の王都とされる二里頭遺跡が所在する洛陽盆地と、洛陽盆地が所在する河南省について、新石器時代から初期王朝時代の集落遺跡の位置情報および遺跡の属性情報をGISの基盤となるデータベースとする作業を計画した。作業の第一段階として、遺跡データ集『中国文物地図集 河南省分冊』(中国地図出版社、1991年)に依拠したデータベースの作成を完了し、今後の研究への骨格を作ることができた。ただし同時に計画していた衛星画像等の整備作業はやや遅延し、次年度への継続となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度においては、①『中国文物地図集 河南省分冊』(中国地図出版社、1991年)に基づく遺跡情報のデータベース作成、②中国社会科学院考古研究所ほか編『洛陽盆地中東部先秦時期遺址 1997-2007区域系統調査報告1~4』(科学出版社、2019年)に基づく遺跡情報のデータベース作成、③米国のCORONA衛星画像(旧地形情報が豊富な1960年代米国の衛星画像)および旧ソ連製地形図(伝統交通路等の情報が豊富)の画像整備、以上をGIS基盤構築のための作業として計画していた。このうち①については完了したが、②、③についてはやや遅れている。その主な理由はコロナ禍であった。②、③の作業では、研究代表者、研究分担者、研究協力者が一々の細部について長時間の議論をしながら進める必要があるが、残念ながら作業のための会合をしばしば自粛せざるを得なかったことが遅延の原因となった。また国内における資料収集のための調査出張を予定していたが、一定の移動制限が生じたことも理由の一つであった。
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Strategy for Future Research Activity |
GIS基盤構築のためのデータベースの作成は、本研究の前半期における主要な内容となるが、進捗状況で述べたように研究者間の会合を必要とする作業がコロナ禍の原因で十分には開催できなかった。こうした状況下でも十分に時間をとっての会合を実施するために、今後は大幅にオンライン形式を導入することを考えたい。対面形式に比べて一部不利な点もあるが、さまざまな工夫も考えられ、これによって問題を解決するように努めたい。
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Causes of Carryover |
当該年度に高額の衛星画像等の購入を予定していたが、購入画像の詳細を決定するための研究代表者、研究分担者、研究協力者間の会合が、コロナ禍が原因で十分には開催できず、結果として次年度での購入へと予定を変えた。また、国内における資料収集のための調査出張(国内移動)についても、感染症予防の観点から自主的に制限したことが使用計画変更の理由である。当該年度に実施できなかったことを次年度に実施することとして次年度の計画を考えている。
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Research Products
(3 results)