2023 Fiscal Year Research-status Report
The formation and foundation of the urban regional-system in early Chinese dynasty - Utilizing GIS in Archaeological study -
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21K00976
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
西江 清高 南山大学, 人文学部, 客員研究員 (10319288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 展也 中部大学, 人文学部, 准教授 (10365497)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 中国考古学 / 初期王朝時代 / 中原王朝 / 王都 / 早期都市 / 交通路 / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は中国初期王朝時代の王都(都城圏)の性格を、王朝の政治圏・文化圏における「中心」と「周辺」の関係性という側面から、地理考古学的方法によって検討するものである。本研究は、①研究室において位置情報を付した関連遺跡のデータベースを作成する。②データベースに基づいて各種の考古学GISの解析をおこない、研究成果を発表する。③現地での調査(踏査)を実施する。以上の三つを柱として進めている。 2023年度においては、①について、中国の省別遺跡データベースの作成を昨年に引き続き順調に進めることができた。特に、中国の黄河流域以南の広大な地域に関しては、データベースの完成が見えてきた。 そのデータベースに基づく研究である②については、「中国初期王朝時代の王都の性格について」と題する論文を2023年度内に投稿しており、2024年度中に公刊される予定である。中国初期王朝時代の都市を論じた論文としては、日本における数少ない業績となる予定である。同論文では、新石器時代後期の「早期都市」という概念を提唱し、その早期都市と、その直後に登場した初期王朝時代の「王都」との、都市としての性格の違いについてさまざまな論点を示すことができた。こうした進行中の研究内容については、依頼講演などの機会を利用して、できるだけ幅広く研究者に向けて発信するよう努めてきた。 現地調査に関する③については、2023年度も残念ながらコロナ禍の影響が長引いており、中国現地での調査旅行には、なおさまざまな制約があることから、実施できない状況が続いた(研究分担者は、本研究とは別のプロジェクトの関係で、3月に短期間中国・中原地区を訪問した)。研究最終年度の2024年度には現地調査を実施したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度(2021)および2年目(2022)につづいて、当初の予想をこえてコロナ禍の影響が長引いている。2023年度においてはこの問題は一応落ちついたものの、研究対象地の中国ではなお一般的な旅行等において一定の制約(ビザ取得など)が残っている。結果として2023年度においても中国現地での調査を、希望する好条件で実施することが難しいと判断し、次年度に持ち越すこととした。一方で、現地調査以外の研究は、研究室におけるデータベースの作成と考古学GIS的解析が、論文や研究発表など形である程度具体的な成果に結びつきつつあり、「おおむね順調に進展している」という評価となった。
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Strategy for Future Research Activity |
「進捗状況」にも書いたように、コロナ禍の影響による現地調査の停止状況が長引いていたが、2024年度は可能であると判断しており、秋には実施したい。研究最終年度の秋となるが、これまで研究室内で進めてきた研究内容の総確認という意味で重要である。予算と時間に制約があるために、調査地点を限定して現地を訪問したい。 一方、これまで3年間の本研究を通じてわれわれは、研究対象地域を中国初期王朝時代の王都とその周辺地域にのみ集中するのではなく、「王都」のもつ広域的な影響に注目することが重要であると認識するようになっている。その結果、日本列島における中国初期王朝時代からの間接的影響(弥生時代の青銅器など)にも注目するようになっている。同様のことは東南アジア大陸部や北方草原地帯の早期青銅器文化についても言えることである。これらを勘案して、まずは日本国内の博物館等に収蔵されている関連文物の調査を進めることが有意義であると考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、2023年度に予定していた現地(中国)への調査旅行が実施できなかったことによる。調査旅行は次年度2024年度の秋に実施の予定である。
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