2022 Fiscal Year Research-status Report
Non-invasive lithological study for prehistorical stone artifacts: Transition of stone materials in prehistory
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21K00987
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
飯塚 義之 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 客員研究員 (90804203)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 縄文時代 / 新石器時代 / 石器石材 / 非破壊化学分析 / 可搬型蛍光X線分析装置 / ネフライト / ヒスイ |
Outline of Annual Research Achievements |
第2年度(2022年度)は、前年度に引き続き2023年末までコロナ禍による渡航制限、行動制限の影響を受け、予定していた現地調査による石器石材の観察と化学分析を行うことができなかった。他方、前年度より収集を続けている石材原岩と推測される天然試料の岩石学・鉱物学的な化学分析を台北・中央研究院地球科学研究所の実験室で進めた。 東日本における縄文時代の石材調査に関連して、岩手県早池峰山周辺域の苦鉄質岩、変成岩を、また北海道地方日高地方に産する緑色岩(「アオトラ石」)や神居古潭変成岩帯の緑色片岩の分析を進め、データベース化を図った。 渡航制限が解除となった2023年1月より日本での縄文時代石器石材調査を再開し、東京国立博物館、千葉市埋蔵文化財調査センターなどでの予備調査、延期していた可搬型蛍光X線分析装置(p-XRF)を用いた、現地調査を2023年3月にかけ、仙台市周辺及び盛岡市の博物館、埋蔵文化財収蔵施設で行った。現地非破壊化学分析によって、岩手県内および宮城県内で出土した磨製石器類の網羅的な調査はおおむね完了した。一方、一部資料は、台湾・中央研究院地球科学研究所のSEM-EDS及びEPMAを用いて分析を実施し、石材データベースとの照会を進めた。一連の調査から、石器石材に用いられている岩石の地域性と多様性が把握できた。一方で、ヒスイやネフライトに代表される希少な石材(玉)で製作されている石器の数的な把握と登場に関しての時代差の把握が進んだ。 一部の調査成果については関連する地方ごとに調査報告書をまとめ公表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍による渡航制限、行動制限の影響を受け、予定していた調査、特に日本以外(当なアジア、中米)での調査の進捗が得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
第2年度は2022年末までコロナ禍による渡航制限、行動制限の影響を受け、予定していた現地調査および石器石材の観察と化学分析が行えなかった。2023年に至り、渡航調査の再開を受け、可能な限りの現地調査を進めていきたいと考えている。 現地調査のために必要な関連周辺地域の岩石は研究協力者の手助けを得たことによって入手でき、それら岩石試料の岩石学的・鉱物学的分析が進んでいる。今後も現地調査に必須のデータベース作成のため実験室での化学分析を継続し、その充実を図る。 第3年度の現地調査のため、すでに、北海道、東北、関東、北陸、中国・四国、九州、沖縄地方での調査先の選定と打診を進めている。また、諸外国については、東南アジア(タイ、ベトナム、フィリピン)、北東アジア(モンゴル)、中米(メキシコ、グアテマラ、ホンジュラス)現地の共同研究者と日本人研究者(考古学者)との具体的な分析対象の話し合いを進めている。順次渡航調査を進めていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による、渡航・移動制限のため、予定していた現地調査ができず、旅費、調査で発生する謝金、消耗品等の必要経費の支出は限定的であった。繰り越し残高は2023年度および2024年度に運用する予定である。残高はコロナ禍のために延期していた日本での石材調査旅費に運用する。また東南アジア、北東アジア、中米への渡航は現地調査の進捗と許可時代で順次調査費用に充てる。
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Research Products
(8 results)