2023 Fiscal Year Annual Research Report
Ancient genomics study on histories of crop species utilization in Jananese Archiperago
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21K00996
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
熊谷 真彦 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 高度分析研究センター, 主任研究員 (80738716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 信太郎 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 名誉教授 (20143357)
水野 文月 東邦大学, 医学部, 講師 (50735496)
石谷 孔司 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (40826062)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 歯石 / DNAメタバーコーディング / 古代DNA / AmpliconSeq / イネ / 雑穀 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の歯石サンプルの収集では、多数個体が出土している複数の遺跡に特にフォーカスし、各遺跡から数十サンプル以上の集中的なサンプリングを実施した。この多サンプルを解析する集団歯石ゲノム解析を行うことにより、個体レベルの食性にとどまらず各遺跡における包括的な食性の復元が可能となる。 収集した歯石サンプルからのDNA抽出および、植物種を網羅的に検出可能な葉緑体のtrnL遺伝子のユニバーサルプライマーを用いたDNAメタバーコーディング解析を実施し、古代の人びとの摂食物の包括的なリスト化に成功した。当時食されていたと考えられる一般的な食物に加えて、薬用として利用したと考えられる種の配列も検出され、さまざまな用途で摂食した種を検出できることが明らかとなった。また、同じ遺跡の個体であっても、摂食種は非常に多様性に富むという結果が得られており、先に述べた多個体のデータにより、集団として理解することの重要性が示される結果となった。葉緑体DNAはコピー数が多いためPCRで増幅しやすく、古代DNAの分析を効率的に行うことができるが、多様性が低い側面もあり解像度を上げる工夫が必要となる。我々は、主要な穀類であり、葉緑体での分類の難しいイネのジャポニカとインディカ、あるいは同じイネ科のキビ、アワといった種を分類可能な葉緑体DNAのマーカーを葉緑体ゲノム配列の比較解析から開発し、歯石DNAでの種同定に成功した。多様性指標を用いた解析手法について、細菌叢メタゲノム解析の手法等を参考に検討を行い、糞石のtrnLデータ等を用いて実証し有効性を示した。研究期間を通して、当初目標の広範な歯石コレクションの構築、歯石DNAメタバーコーディングによる古代食性の復元、さらに穀類の種同定を実現できた。これらの成果により、歯石ゲノムを活用した古代の食性理解および穀類利用の歴史の解明を進めるための基盤を構築できた。
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