2023 Fiscal Year Annual Research Report
Faithful Color Reproduction and Faded Color Correction: Approaches Based on Spectral Analysis of Color Film
Project/Area Number |
21K00997
|
Research Institution | The National Museum of Modern Art, Tokyo |
Principal Investigator |
大傍 正規 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, 企画課, 主任研究員 (40580452)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大関 勝久 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 特任教授 (00774952) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | カラー映画フィルム / 分光スペクトル / 主成分分析 / デジタル色再現 / デジタル映画 / スペクトル分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、カラー映画フィルムの分光透過スペクトルに対して主成分分析を行うことにより、当該フィルムの色彩の分光特性を把握した上で、その測色値と等しいスペクトルをデジタル映写環境において忠実に再現する手法の確立を目指してきた。本年度は、国立映画アーカイブ(NFAJ)が所蔵するカラー映画フィルムの中から、色再現手法を確立するのに最適な『時をかける少女』(1983年、大林宣彦監督)の再タイミング版を選定し、2016年の同版作製時に使用した米・イーストマン・コダック社のフィルム(EK2383)を活用してデジタル色再現を行った。具体的な研究成果としては、『時をかける少女』のスキャンデータに対し、EK2383に焼き付けたカラーチャートおよび濃度の異なるグレーチャートの分光透過スペクトルを主成分分析した結果を反映させて、デジタル映写環境上で同作品の分光スペクトルを再現することができた。結果として、カラーグレーダーによる官能評価に基づいたシーン毎のグレーディングを経ることなく、フィルム・ルックと等しいデジタル色再現を行うという当初の研究目的を達成した。最終的には、NFAJが所蔵するカラー映画フィルム(白黒も含む)にこの色再現モデルを適用することで、映画コレクション全体を最適にデジタル化する道筋をつけることができた。その一方で、 褪色したカラー映画の褪色補正に基づく色再現手法については、褪色色素による着色解析が必要であることが判明し、スペクトル分析に基づく原理確認のさらなる検討が不可欠であることが明らかになった。本件については、色再現手法の開発、その妥当性や信頼性の検証について今後の課題を把握するに留まった。
|
Research Products
(4 results)