2021 Fiscal Year Research-status Report
DNA解析と無機成分分析による植物標本の生育地及び集団を解明する手法の開発
Project/Area Number |
21K01008
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
吉川 ひとみ 科学警察研究所, 法科学第三部, 主任研究官 (20392269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠松 正昭 科学警察研究所, 法科学第三部, 室長 (70356202)
大西 亘 神奈川県立生命の星・地球博物館, 企画情報部, 主任学芸員 (00588270)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 植物標本 / ゲノム横断的塩基多型解析手 法 / 次世代シークエンス / 無機成分分析 / 劣化試料 / コセンダングサ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、博物館に所蔵されている植物標本について、植物種を問わず集団、生育地を把握するために、DNA解析及び無機成分分析手法を開発する。コセンダングサをモデルとして、DNA解析および無機成分分析による分析手法の開発を行った後、実際の博物館所蔵標本の解析を行う。 本年はまず、群馬県から宮崎県まで、比較的新鮮な状態のコセンダングサを約260点、採取及び収集した。 次に、異なる地点由来の試料を識別できるDNA解析手法の開発に着手した。直線距離で最短でも100 m離れた約40地点から採取された試料からDNAを抽出した。1地点のみコントロールとして3試料用いたが、その他の地点は1地点1試料を実験に使用した。予備検討により各種実験条件を確定した後、Multiplexed ISSR Genotyping by sequencing (MIG-seq) 法による解析を行った。 得られたシークエンスデータの解析手法については、新たに開発を行った。その結果、2回シークエンスをした結果を試料毎に比較して評価する手法を開発することができた。開発した手法で試料の比較を行った結果、同一地点由来試料を比較した場合は、得られた多型部位が全て同じ塩基であったのに対し、異なる地点由来の試料を比較した場合は1-129箇所異なる塩基が確認された。 無機成分分析については、コセンダングサの痩果を試料とすることとし、マイクロ波加熱分解を行った後、ICP-MSによる元素分析を行うことにした。しかし、解析に用いることを予定していた機器が不調で実際に解析を行うことが困難であったことから、本年は文献調査を行うにとどまった。 研究初年度は博物館の標本をふくめた試料の採取及び入手、またDNA解析条件決定、配列解析手法の開発を行った。その結果異なる地点由来の試料は異なると判断することが可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた研究試料の収集、DNA解析の実験手法の予備検討、配列解析手法の開発を行うことができたため。ただし、無機成分分析については機器不調のため遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
異なる地域由来の試料について、初年度に用いた手法とは異なるDNA解析手法により解析を進める。また、同じ地域内での塩基の変異についても解析を進める。
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Causes of Carryover |
研究協力者による試料の入手、実験の予備検討が想定よりスムーズに進んだため。また無機成分分析ができなかったため。
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