2022 Fiscal Year Research-status Report
空間特性をふまえた農山漁村地域の復興過程における地域支援手法に関する研究
Project/Area Number |
21K01014
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
福留 邦洋 岩手大学, 地域防災研究センター, 教授 (00360850)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 災害 / 農山漁村 / 防災教育 / 克雪住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、災害時における農山漁村地域の脆弱性を明らかにしながら、どのような点に考慮すれば自立的、持続的な復興につながるか考察することを目的としている。 昨年度に引き続き、防災教育、防災学習への実践的な取り組みを継続するとともに、今年度は特別豪雪地帯である新潟県十日町市を対象として、生活基盤であるとともに雪処理等による人的犠牲の軽減化にもつながる建築物の克雪化の普及過程に着目し、豪雪地帯にある地方都市の地域脆弱性について明らかにすることを試みた。自然環境(積雪状況)と居住環境の変化などを総合的に分析することにより積雪に対する地方都市の地域脆弱性の特徴とその改善方策を検討するため、住宅の屋根形状(克雪住宅化)に着目し、資料収集を行った。まず2011年(新潟県中越地震)以降の建築確認申請資料を入手し、直近10年間の建築動向を把握し、これに十日町市の克雪住宅に関する支援事業データを重ね合わせた。また、住宅地図を用いて地図上での照合作業を行うとともに、資料だけで判断が難しいものについては、現地における外観目視調査で補った。調査、分析の結果、建設された克雪住宅は落雪式が過半数をしめ、耐雪式、融雪式が同程度であった。新築では落雪式が全体の70%近く、耐雪式が約25%であることに対し、増・改築では、融雪式が全体の70%以上をしめた。落雪式は郊外部を中心として、広い敷地で建物からの落雪を堆積できる配置、耐雪式は限られた敷地に建ぺい率の上限に近いボリュームのある建物を建築、融雪式は雪下ろしが必要な非克雪住宅として建築された既存住宅が増・改築時に融雪屋根へ変更している傾向がある。新規住宅供給の点においては克雪化の進展、雪に関する脆弱性の克服には一定の成果があったといえる。今後は既存の経年住宅の克雪化について検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で取り上げたように震災後の克雪住宅化の把握に関する成果は得られたものの、研究実施計画にかかげた過去の被災地等の調査はCOVID-19の影響等によりほとんど実施できず、具体的な知見を得るには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画に基づいた調査・研究の遂行をできるだけこころがけたい。
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Causes of Carryover |
当初予定していた調査(旅費)がCOVID-19や学内事務業務の繁忙等により実施できなかった。次年度以降は現地調査を円滑に実施できるように努めたい。
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