2023 Fiscal Year Research-status Report
空間特性をふまえた農山漁村地域の復興過程における地域支援手法に関する研究
Project/Area Number |
21K01014
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
福留 邦洋 岩手大学, 地域防災研究センター, 教授 (00360850)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 災害 / 復興 / 農山漁村 / 避難所 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、災害時における農山漁村地域の脆弱性を明らかにしながら、どのような点に考慮すれば、自立的、持続的な復興につながるか考察することを目的としている。 今年度は、小・中学校、特別支援学校などにおける学校防災教育、防災学習への実践的な取り組みを継続するとともに、地方における災害対応を分析、検証する観点から、災害時に避難所となる公共建築物が建築基準法に基づく定期報告(定期検査)の調査項目に不具合等の指摘があった場合、被災した際の被害想定から利用可能であるのか秋田県南部を対象として検討を行った。 この定期報告の内容を秋田県南部の避難所(指定避難所、福祉避難所)に重ねたところ、104カ所(棟)で約700件の落下に関する不備(問題)のあることがわかった。外壁の外装仕上げ材、窓サッシ、屋根など屋上周りへの指摘が目立つ。接合部の耐力不足等によるものであるが、建物の劣化(老朽化)、維持・管理の問題がうかがえる。落下の可能性以外では、防火シャッターや排煙設備の不具合による避難の支障、雨漏りの可能性など防水性の低下に関する指摘が多くなっている。これらの問題が大規模災害時に露呈した場合、多くの避難所は機能しないことが懸念され、地方における脆弱性の側面を包含していることが確認できた。 また、東日本大震災に関しては、被災形態と復興過程の特徴・課題等(土地利用、地域コミュニティ等)について2023年10月のGlobal Cooperation and Training Framework (GCTF) International Workshop on Maritime Disasters Measuresにおいて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で取り上げた成果があったものの、2021年度~2022年度に予定していた調査がCOVID-19の影響で実施できず、その遅れを取り戻すまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画に沿った調査・研究をできるだけ遂行するとともに、2024年1月に発生した令和6年能登半島地震の被災形態や復興についても本研究課題に関連する事象として捉え、現地調査の実施や研究成果の還元などをこころがけていきたい。
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Causes of Carryover |
感染症まん延期(2021年度、22年度)に執行できなかった調査・研究内容の遅れが繰り越しとなっているため。2024年度は現地調査等が円滑に実施できるよう努めたい。
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