2022 Fiscal Year Research-status Report
時空間的地形分析によるベトナムの都市型水害のリスク評価と地域の持続可能性
Project/Area Number |
21K01019
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
米澤 剛 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (90402825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 達也 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (10572555)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ベトナム / ハノイ / 地形 / DEM / 水害 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の研究実績の概要は以下の通りである. (1)2021年度にベトナムの天然資源環境省(MONRE)から購入したハノイ市中心部の縮尺1:2,000のデジタル都市計画図に記載している標高測量値を抽出するためのプログラム開発をおこなっている.これまでは手入力で緯度,経度,標高測量値を抽出しており,作業時間の短縮が課題であった.都市計画図は特殊なCAD形式のデータであり,その中から標高測量値のみを抽出する.1枚の地図は約1kmの範囲をカバーしており,その中には平均して200点の標高測量値が記載されている.抽出する情報としては,緯度・経度・標高値である.現在,入手できている地図は80点であるが,今後も地図の範囲を広げる予定であるため,開発しているプログラムの必要性は重要となる. (2)研究協力機関であるハノイ鉱山地質大学と協力して,2010年からのハノイ市の気象情報の収集と整理をおこなっている.ハノイ市は東南アジア特有のモンスーン気候であり,激しい大雨や雷雨が多い.その後は多くの地域で水害が発生しているため,ハノイ市のどの地域で内水や冠水が発生しているのかをとりまとめる作業をおこなっている.あわせて,ハノイ市の気象観測所の年間データの入手についてもハノイ鉱山地質大学を通して協議中である. (3)昨年度に引き続き,都市計画地図に記載されている標高測量値や地形データ(DEM)等をGIS(地理情報システム)データとして公開するためのWebGISについて研究分担者と協議中である.すでに関連する多くの地形データや地図等も入手済みであり,データの公開範囲や精度についても今後詳しく協議する必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度に購入したデジタル都市計画図に記載されている標高測量値を地図内から抽出できる目処がたったことが大変大きな成果である.ベトナムはハノイ市だけでなく別の都市も同様の都市計画図が整備されているため,本研究で確立した手法が他の都市でも適用できる.これまでの都市計画図では手入力で抽出していたため,膨大な時間を有していた作業が短時間でおこなえる可能性があり,大変有効である.また,気象情報の収集と整理についても,現地の協力機関であるハノイ鉱山地質大学と協議しながら進めている.WebGIS構築に関する準備も進めている. 以上のことから,2022年度の研究の進捗状況はおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度はデジタル都市計画図に記載されている標高測量値をすべて抽出し,ハノイ市の地形DEMを完成させる.また,都市型水害に関する情報を収集・整理し,GISデータとして取りまとめる.これらをWebGISに実装し,これまでに収集した地形データ等も含めて可視化・分析可能なシステムを構築することを目標とする.また,これまでの研究成果をベトナムのハノイ市で11月に開催される国際シンポジウムで発表する予定である.
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Causes of Carryover |
2022年度についても昨年度同様,研究資料の収集および研究協力者との協議のためにベトナム渡航を計画していたが,新型コロナウィルス感染症の影響,とくに現地協力機関の制限により渡航が不可能であった.そのため当初の計画とは差異が生じた.2022年度の渡航費用のうちいくらかは物品費にあてたが,残りの経費は2023年度の海外渡航費用に計上する予定である.
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