2021 Fiscal Year Research-status Report
The conservation and reasonable uses of agri-rural spaces with the nesting system in metropolitan areas
Project/Area Number |
21K01031
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
菊地 俊夫 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 客員教授 (50169827)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | コミュニティガーデン / 大都市域 / 大都市近郊内帯 / 大都市近郊外帯 / 包摂システム / 結節点 / 農」資源活用ポテンシャル / 余暇活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は新型コロナウイルス感染症の影響で予定された国内外の調査や海外出張や国際会議に出席することでの成果発表ができなかった。また、コミュニティガーデンの包摂システムに関する調査は、大都市域で行われる予定であったが、コロナウイルス感染症の影響で制約を受けた。他方、国際地理学会の持続的農村システム会議がオンラインで開催され、カナダのブリティッシュコロンビア州におけるコミュニティガーデンを含む「農」資源利用の有用性に関する発表を行った。加えて、東京大都市圏における「農」資源の有効活用としてコミュニティガーデンなどの都市農業に関連したルーラルツーリズム(余暇活動)と農村振興の在り方を明らかにした研究も持続的農村システム会議で発表した。加えて、国内外の調査が十分にできなかった代わりに、コミュニティガーデンに関する文献や統計を東京大都市圏や海外の事例となる大都市圏(ロンドン大都市圏やパリ大都市圏、バンクーバー大都市圏、ロサンゼルス大都市圏、シドニー大都市圏)について収集し、コミュニティガーデンをノード(結節点)とする都市・農村共生の包摂モデルを仮説として構築した。また、統計分析により、コミュニティガーデンを含む「農」資源活用のポテンシャルマップを作成した。それぞれの対象地域における仮説の包摂モデルや農資源活用のポテンシャルマップは今後の実証研究に役立つものとなる。具体的には、ポテンシャルマップの結果によれば、コミュニティガーデンの立地は、大都市近郊内帯と大都市近郊外帯に分化する傾向にあり、資源の有効利用のポテンシャルは都市近郊の内帯から外帯に移動する傾向にある。そのため、今後のコミュニティガーデンの調査も、そのような立地移動を考慮して進める必要があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの調査のデータに基づいて、コミュニティガーデンを含む「農」資源の適正利用に関する研究成果をオンラインによる国際会議で発表したが、多くの内外の研究者と議論してコミュニティガーデンの包摂システムに関する仮説モデルの精緻化を図ることはできなかった。また、デスクワークとしての文献調査や統計分析、およびデータの地図化などの作業は進んだが、国内外における事例地域のコミュニティガーデンに関するフィールドワークはコロナウイルス感染症の影響によりほとんどできなかった。このようなのフィールドワークの滞りが、研究の進捗状況に大きな影響を与えている。このように、研究に関するフィールドワークの進捗は遅れているが、コミュニティガーデンの包摂システムの理論的なフレームワークの検討や地域的な役割の考察などがじっくりと時間をかけてできたことは幸いであった。
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Strategy for Future Research Activity |
コミュニティガーデンをノード(結節点)として都市と農村が共生する包摂システムの仮説モデルを実証研究に基づいて検証することが今後の研究の基本的な目標である。そのためには、国内外の多くの事例地域でのフィールドワークを行い、都市と農村の共生が推し量れるデータを収集することが第一の研究の方向性となる。第二の方向性は、コミュニティガーデンの包摂システムに関する事例的な実証研究をまとめて、包摂システムの一般化を試みることになる。そして最後に、第三の方向性は、コミュニティガーデンの包摂システムに関する都市農村の共生に関する研究を国内外の会議で成果として報告し、国内外の研究者との議論を行うことでさらに精緻化することである。
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Causes of Carryover |
今年度は新型コロナウイルスの感染症の影響で、国内外の会議での研究成果の発表がオンラインとなり、現地に出張することがなかった。それに加えて、補足調査としてのフィールドワークができなかったことなどは、未使用額の次年度使用が生じた大きな理由となっている。これは、研究者自身と官公庁や農業団体、および農家などの調査対象者のいずれの安全のためにもやむをえない状況であったといえる。また、参加発表を予定していた学会の学術大会や研究会のすべてがオンラインとなり、研究の討論や議論のための出張もできなかった。そのため旅費の多くが未使用となった。以上のことを踏まえて、次年度の研究費の多くは国内外での研究成果発表のための旅費や補足調査の旅費に使用する予定である。
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Research Products
(7 results)