2023 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄における祭祀と伝統的地理観の統合分析を利用した村の空間構造解析
Project/Area Number |
21K01037
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
松井 幸一 関西大学, 文学部, 准教授 (40612437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 真一 愛知学院大学, 教養部, 准教授 (00706989)
住田 翔子 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (00722050)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 琉球 / 集落 / 風水 / 祭祀 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は今帰仁村謝名集落において, 聞き取り調査をもとにした集合的記憶からの景観復原をおこなった。住民の集合的記憶からは,住民自身がすでに失われたと言う風水景観を復原することができ,そこでの経験や場所の保存が集落への愛着やアイデンティティーの醸成に役立っていることが明らかになった。また祭祀の継承者不足から,かつてのような祭祀はおこなわれなくなったが,聖地は豊年祭の重要な場所として機能しており住民同士を繋ぐ場所としての機能は変化していないことも確認できた。 2021年度~2023年度にかけての調査では主に3つの成果があった。①今帰仁城旧集落でのドローンによるレーザー測量では,これまで難しかった原野での景観復原に成功した。この成果によって旧集落の周縁部に聖地が存在し,グスク時代の旧集落においても周縁部を外界とする世界観が存在する事を示した。②謝名集落での祭祀史料の分析からは,聖地の名前から腰当思想に当てはまる集落であることが判明したほか,村をまたがる聖地と祭祀者が存在していた事が明らかとなり,聖地の性格と祭祀記録の分析が集落構造解明の一助となることを示した。③謝名集落での聞き取り調査からは,失われたと言う風水景観を集合的記憶から復原できるとともに,聖地が住民同士を繋ぐ場所としての機能を維持し続けている事を示した。 本研究では複数の事例から,祭祀と伝統的地理観の統合分析はこれまでとは異なる新たな視点からの集落研究に有効であることを示した。
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