2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K01050
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
杉浦 芳夫 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 客員教授 (00117714)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | H. E. Bracey / イギリス / 中心地理論 / 都市・農村計画法 / 州開発計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
イギリスにおける農村地域の中心地研究の先駆の一つとして位置づけられるBracey(1953)と、当時のイギリスにおいて都市・農村計画法の下で進行中であった州開発計画との関連について検討した。Braceyは、イギリス南西部サマセット州を対象とした中心地研究(Bracey 1953)に先立って、東に隣接するウィルトシャー州における社会的サーヴィス供給(social provision;①生活インフラ、②交通アクセス、③商業施設。④サーヴィス施設、⑤教会、学校、図書館分室などの集会施設、⑥社会活動団体)の現状について研究を行ない、そのいわば副産物として、このうちの③~⑥の指標を用いて同州での中心地階層区分を試みている(Bracey 1952)。この研究自体は、Braceyが所属していたブリストル大学における学際的な戦後復興研究の一環として、すでに1946年には開始されていた。その初期の研究結果は、農村開発計画に携わる関係者に参考になると考えられ、1947年初め、関係機関に送付された。それは、すぐさまブリストル近隣のウィルトシャー州やサマセット州の州開発計画部門の関心を惹くことになり、Braceyは両州の開発計画の、とくに集落調査への協力が要請された。Bracey(1952)において区分された3段階からなる村中心地が、ウィルトシャー州の開発計画で社会資本を投資して選択的に発展させようとする「主要村(main village)」に一対一で対応してはいない。しかし少なくとも、単純に「村」と一括りされる農村集落には、農業従事者だけが住む純粋の農業集落と、都市的色彩を帯びた農村集落(urban village)とがあることを行政側に知らしめたことは確かである。
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