2021 Fiscal Year Research-status Report
Industrial transformation, market creation and geographical milieu
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21K01051
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
水野 真彦 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (80305664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 謙吉 専修大学, 経済学部, 教授 (50301429)
立見 淳哉 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (50422762)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 経済地理学 / 地理的環境 / 産業転換 / 産業高度化 / 市場創造 |
Outline of Annual Research Achievements |
変化の激しい現代経済において,先進国の都市・地域では,産業を自ら変化させ,その市場を維持ないし拡大させることが求められている。本研究は,産業の転換・高度化,市場創造と地理的環境について経済地理学的視点より考察するものである。 本年度の成果の第一は,産業集積の進化に関するものであり,東大阪地域の事例を考察し以下のように産業集積の進化プロセスを整理した。まず,フェーズ1(誕生段階)では,近世期からの地場産業からの転換に加えて大阪市内からの分散による移動がみられた。次のフェーズ2(成長段階)では,集積の拡大と深化,盛んな新規創業,専門化による分業と量的な分業の両方とも盛ん,といった特徴があった。三番目のフェーズ3(成熟期)では,輸出市場の変化,低付加価値・大量生産の製品の縮小,創業の停滞,分散や複数事業所化がみられる。最後のフェーズ4(停滞期)では,企業数減少,土地利用競合,企業の二極化が指摘できる。以上のような進化プロセスの整理と東大阪地域の産業集積の展望について検討した。 第二の成果は,社会連帯経済や「多様な経済」に関する関する論点の整理である。先進諸国の斜陽工業地域の代表的な地域の一つであり,工場の移転・閉鎖に伴う深刻な社会・経済的な課題と向き合ってきたフランス・リール地域では,社会連帯経済によって産業あるいは経済システムの転換を目指している。社会連帯経済は、基本的にはローカルな近接性に基づく経済であり、「近隣サービス」の生産に関わるもので,基本的にはローカルなスケールで展開される活動である。しかし,それはローカルに閉じられたものではなく,グローバルな価値あるいは一般的な価値と両立する場合にのみ正当化されるものであることを指摘し,アメリカにおける「多様な経済論」との関係も含めて,グローバルとローカルの関係性を問い直す必要について考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究レビューについては進展し研究枠組みの確認については順調に進んでいる。しかし,新型コロナ感染拡大によりフィールド調査が困難であり,実証研究を進めることができていない。新型コロナ感染流行が落ち着くのを待ち,研究を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ感染拡大の影響により,フィールド調査が困難な状況が続いているが,コロナ流行が落ち着き次第,調査を進めていきたい。調査は,産業の転換・高度化に関するものと市場創造・価値づけに関するものに分けられる。これまで蓄積してきた近接性や価値づけの議論や,ローカルな需要の深耕の意義などの論点を盛り込みながら,独自性のある研究を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により,フィールドワークや対面での研究打合せが困難であり,旅費を使用することができず,また可能なことが限られているために研究の進捗も遅れがちとなったため。
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Research Products
(5 results)