2023 Fiscal Year Annual Research Report
Fusion and Creation of Immigrants' Religion in the Multi-Ethnic Country: Hinduism and Chinese Religion in Malaysia
Project/Area Number |
21K01063
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Research Institution | Kaichi International University |
Principal Investigator |
古賀 万由里 開智国際大学, 国際教養学部, 教授 (20782345)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マレーシア / シンガポール / 華人宗教 / ヒンドゥー教 / シンクレティズム |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は現地調査が4回実施された。第1回目は8月30日から9月3日までシンガポールにおいて、ヒンドゥー神が祀られる華人廟で、ヒンドゥー神が祀られるようになった経緯を聞き取り調査した。9月5日から9日までは、マレーシアで華人廟の祭礼の調査を行う。第2回目は10月20日から23日に、華人のみでヒンドゥー神を祀っている祭礼を調査し、ヒンドゥー神を信仰するようになった経緯を聞き取り調査した。第3回目の1月24日から29日は、クアラルンプール郊外にある寺院の祭礼に、巡礼者として参加し、参加者の視点を内側から観察した。また、マラッカにあるヒンドゥー教と華人宗教が習合している寺院の祭礼の事前調査を行った。第4回目の2月21日から24日は、マラッカにあるチェング寺院の祭礼を調査する。祭礼に参加している華人にインタビューを行い、ヒンドゥー神の認識や理解、信仰するようになった経緯を聞き取った。 現地調査はコロナの影響で1年目は実施できなかったが、合計で6回の調査を行い、ヒンドゥーと華人宗教のシンクレティズムが、儀礼の形式、寺院の形式、信仰概念などから把握できた。またシンクレティズムの要因として、仏教とヒンドゥー教の類似性、儀礼の類似性、環境の近似性、模倣と同一化の傾向、民族の社会的関係、歴史的背景があることが分かった。 成果は、2023年9月23日に神戸大学で開催された日本南アジア学会において、「マレーシアとシンガポールにおけるヒンドゥー寺院の変容」を発表した。 また、論文「民族と宗教の融合と寛容性―マレーシアとシンガポールのヒンドゥー教と華人宗教のシンクレティズム―」を『国際教養研究とSDGs―持続可能な社会を目指して―』(19-30ページ)に掲載した。さらにエッセイ「華人宗教とヒンズー教の重なる領域」がネット情報誌『NNA』に掲載された。
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