2022 Fiscal Year Research-status Report
若年墨米移民のメキシコ観と「経済娯楽型社会空間」に関する学際的研究
Project/Area Number |
21K01066
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
牧野 冬生 東洋大学, 国際学部, 教授 (50434387)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 墨米移民 / 可視的空間 / 経済・娯楽的紐帯 / 共創的社会景観 / メキシカン・コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の2年目にあたる2022年度における研究実績は、以下の通りである。 2022年度は、研究の2年目として墨米移民(経済・娯楽的紐帯)に関わるフィールドワークを実施予定であったが、コロナウイルスの影響が引き続き2022年度にも大きな影響を与えており、初年度の続いて渡航によるフールドワークについては断念した。そのため、2022年度に関しては今後のフィールド調査に向けての調査計画を精査しながら、関連する文献の読み込み、理論体系の整理、メキシコの研究機関における研究協力者とZOOM打ち合わせを実施した。各課題に関する具体的な研究実績は、以下の通りである。 1)「宗教行事を軸にした社会空間のシンボル性の脆弱化と経済・娯楽的紐帯の台頭のプロセス」においては、特に経済・娯楽的紐帯の観点を中心にしながら、社会空間の形成過程を整理した。 2)「再解釈されたメキシコ観の「可視的空間への表出・あふれだし」の混在性と実態」においては、カリフォルニアにおける商業空間について、クラシック・アメリカン・メキシカン、またはカリフォルニア・メキシカンといった混在性のあり方について整理した。 3)「若年墨米移民が故郷と共同で構築する「経済・娯楽型社会空間」の理論的枠組みの提示」については、上記の文献調査から理論化に向けて一次資料を蓄積することができた。 本研究の目的は、現在的な側面を踏まえた長期の社会空間・生活空間の変容を捉え、若年墨米移民が故郷と共同で構築する「経済・娯楽型社会空間」の理論的な枠組みを提示することにある。こうした研究目的を精査しながら、最終年度に向けて十分な資料形成につなげることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度についても2021年度と同様にコロナウイルスの影響で、墨米移民(経済・娯楽的紐帯)に関わるフィールドワークを実施できなかった。そのため、米国において墨米移民の社会空間を参与観察により調査することが難しい状況であった。よって、2022年度は、今後のフィールド調査に備えて調査地域の絞り込みや調査計画を整理しながら文献調査を行った。2022年度の各課題における進捗状況は、以下の通りである。 1)「宗教行事を軸にした社会空間のシンボル性の脆弱化と経済・娯楽的紐帯の台頭のプロセス」においては、主に経済・娯楽的紐帯の台頭を意識しながら移民の可視的空間を整理した。 2)「再解釈されたメキシコ観の「可視的空間への表出・あふれだし」の混在性と実態」においては、メキシコスタイルと米国スタイルの歴史的な混交について確認した。 3)「若年墨米移民が故郷と共同で構築する「経済・娯楽型社会空間」の理論的枠組みの提示」については、近年急速に拡大しているバーチャルな社会空間について確認した。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究期間の3年目にあたる2023年度に向けては、これまでに調査した文献やZoomによるインタビューを精査した上で、実際に米国・メキシコにおいてフィールドワークを実施したいと考えている。渡航条件が従前の状態の戻ってきていることを考慮し、現地の研究機関と連携しながら研究を効果的に進めていく。
|
Causes of Carryover |
(理由)本研究における2022年度の旅費に関しては、コロナウイルスの影響により予定していたフィールドワークが実施できなかったことが理由である。また謝金に関しても同様に、現地(メキシコ・米国)での共同研究者への支払いがなくなったため、次年度使用額が生じている。 (使用計画)2023年度の使用計画としては、フィールドワークを実施することで旅費と謝金の使用を予定している。また、本研究に関連する資料の購入と研究成果の公表に伴う翻訳校正の費用などを予定している。
|