2021 Fiscal Year Research-status Report
A brief study on Methods used in Photo-ethnographic modeling
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21K01070
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Research Institution | Himeji Dokkyo University |
Principal Investigator |
岩谷 洋史 姫路獨協大学, 人間社会学群, 講師 (00508872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花村 俊吉 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 特任研究員 (30727178)
田原 範子 四天王寺大学, 人文社会学部, 教授 (70310711)
岡田 浩樹 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (90299058)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | フィールド経験 / エスノグラフィー / エスノグラフィック・フォトグラフィー / フォト・エスノグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究活動は、調査者のフィールド経験を具現化させる、写真を主体にしたフォト・エスノグラフィーの実践を理論的に精緻にし、発展させることを主目的としている。2021年度もコロナ禍で緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置がなされ、国内外調査、対面式研究会、資料収集といった基本活動は制限を受け、研究計画を部分的に変更せざるを得なかったが、制限内で次の研究活動を行なった。 ①文献資料収集と隣接分野研究者との連携。エスノグラフィック・フォトグラフィーの探究のための関連文献の収集と同時に、文化人類学、隣接分野(主に社会学)の研究者との連携をはかり、研究体制の基盤を作った。②研究メンバーによるフォト・エスノグラフィーの実践。専門が霊長類学である研究分担者が主導し、研究メンバーがニホンザル生息地(京都市)に赴き、サルの行動を対象に写真撮影を行い、写真資料をたたき台として調査者個人と所属する研究分野による写真撮影方法の相違について検討した。③調査実習でのフォト・エスノグラフィーの実践。研究分担者が所属する大学院授業で、フォト・エスノグラフィーの手法を採用した調査実習(フィールドは大学周辺)を行なった。研究代表者は得られた資料を整理・分析することで、モデル化を進めるための知見を得た。④研究会の開催。採択決定後、研究分担者(3名)と第1回目研究会(2021年4月26日)に研究代表者が研究活動の趣旨説明を行なった。また、第2回目研究会(2022年3月7日)に研究分担者による研究成果の発表を行なった。すべてオンラインで行い、本研究の進捗情報の共有をはかった。また、頻繁に電子メールでのやり取りを介して、エスノグラフィーそれ自体の本質に関する議論も行なった。 以上の活動をもとにして、大学院生による調査実習の成果のWEBサイトへの掲載や次年度に計画している学会での成果発表に向けての準備を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究が遅れている一番、大きな理由は、2021年度もコロナ禍で緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置がなされ、行動制限があったことにより、採択前の研究活動によって基本的な枠組みを確立させているフォト・エスノグラフィーの実践のための基礎的な写真資料を収集することができなかったことである。 文献資料収集と隣接分野の研究者(国内)との連携については概ね当初の計画通りであった。また、研究会開催についても対面形式ではなく、オンライン形式に変更して実現することはでき、研究メンバーとの情報共有やフォト・エスノグラフィーに関する議論をすることができた。これらによって本研究活動を推進させる基盤を整えることができた。しかしながら、まず、研究分担者の一名が所属する大学・大学院での文化人類学の調査実習授業で受講生によるフォト・エスノグラフィーの実践を通じて得られる資料を分析することで、モデル構築を進めていくという計画については部分的にしか実現できていない。当初、大学周辺だけでなく、鹿児島県の喜界島を調査実習のフィールドとして行う予定であったが、喜界島については現地との交渉で延期せざるをえなくなった。また、研究メンバーによるフォト・エスノグラフィーの実践については、研究代表者は国内をフィールドにしているものの、清酒製造会社を対象にしており、会社への訪問を自粛せざるを得なかったこと、そして、研究分担者の一名はアフリカ・ウガンダをフィールドとしているため、渡航すること自体が不可能であったことにより、写真資料の収集において実現できていないところがある。 現在、文献資料収集、およびオンラインによる研究会、電子メールでの密なやり取りは実施しつつ、状況をうかがいつつ、研究課題をいかに達成することができるのかを研究メンバーと話し合いながら、今後の研究活動の実施方法の変更なども含めて検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度もフォト・エスノグラフィーに関連する文献資料の収集、国内外の研究者との連携(特に2022年度は海外の研究者も対象にする)、およびオンラインによる研究会(開催は2回を予定)、研究代表者・研究分担者間での電子メールなどを含むコミニケーションツールを介したやり取りや議論は、引き続き行なっていく予定である。そして、それらに加えて、新型コロナウィルス感染症の発生状況を見つつ、遅れているフォト・エスノグラフィーの実践(学部生・大学院生向けの文化人類学の調査実習、および研究代表者・研究分担者自身のフィールドでの調査を通じて)を行い、フォト・エスノグラフィーのモデル化に向けた理論的深化を図っていく。ただし、海外を主にフィールドとする研究分担者の実践については、新型コロナウイルス症などの発生状況などなどによって、未だ渡航ができない、もしくは、しにくいという可能性を考慮に入れた上で、国内でのフィールドワークに変更してフォト・エスノグラフィーの実践を推進していくことも検討している。そしてさらに、研究成果の公開に関しては、これまでの研究活動で得られた新たな資料を整理した上で、開設しているWEBサイト上に公開し、情報を継続的に更新していくだけはなく、2022年度は研究成果を国内学会で発表し、最終的には学術論文執筆を射程に入れた上での報告書類の発行をしたい。今後、万が一、研究が計画通りに進まない時などには研究代表者・研究分担者、さらには研究協力者間で意見交換をしながら、計画の進行の調整、修正、および改善などを含め、常に柔軟な姿勢で対処していきたい。
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Causes of Carryover |
本研究課題に関連する先行研究を行っている国内の研究者との対面式の意見交換やフィールドワークが必須となるフォト・エスノグラフィーの実践のために、研究代表者や研究分担者が現地に出張するための予算計画を当初、立てていたものの、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、緊急事態宣言の発令やまん延防止等重点措置がなされ、遠隔地への出張が難しい期間があり、経費のうち、特に旅費としての使用が縮小してしまった。このために次年度使用額が生じた。これについては、次年度に繰り越して、本研究計画を実現するための旅費支出に当てる計画を立てている。
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Research Products
(3 results)