2021 Fiscal Year Research-status Report
Practical Study on Rearrangement and Loose Preservation of Local Mingu Collections
Project/Area Number |
21K01073
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
川邊 咲子 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, プロジェクト研究員 (70867374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 清志 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (20405624)
堀井 美里 合同会社AMANE, 調査研究ユニット, 業務執行社員 (90578262)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 民具 / 地域民具コレクション / 地域資料の保存・活用・継承 / 緩やかな保存 / 資料情報の蓄積・発信 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究対象地域において民具資料の状態や保存・活用環境の把握、資料の情報・データや関連情報の収集(文献調査、聞き取り調査等)に取り組んだ。 珠洲市においては9月~11月に開催された奥能登国際芸術祭の準備期間に民具資料の情報・データの収集・整理、展示やアート作品に用いられる民具の記録、資料展示の作成を集中的に行った。芸術祭閉幕後にもミュージアムの今後の運営や収集資料の保存・活用についての打ち合わせやアート作品で使われた民具の情報収集・記録等を進めた。また、珠洲市で開催された芸術祭のシンポジウムや学会等で本研究の意義や内容について市民や地域の関係者に対し共有することができた。 輪島市においては、研究対象とした旧市立民俗資料館の民具コレクションが個人宅に収蔵されているため、新型コロナウイルス感染症の感染状況が落ち着いた11月に現地調査を実施した。対象となる民具の全体的な現状を把握し、約7割の資料についてデータ(主に法量や状態についてのデータと画像データ)を記録することができた。また、今後のデータ公開や民具の保存・活用方法について関係者と話し合い方向性を定めた。 奥州市においては、市の教育委員会や関連施設の担当者らからの協力を得て市域内の民具コレクション全容把握調査(現物資料と既存の記録情報について)を次年度以降実施することを計画している。また、7月に学術野営 2021を開催し、等研究課題からは「地域における資料継承の現実と展望~民具資料の”緩やかな保存”の可能性」というテーマでセッションを設けた。資料のモノと情報について、何をどこまでどうやって残すのかといった課題等について、研究者や地域の自治体職員、資料館職員等と活発な意見交換を行うことができた。 全体を通し、資料の情報やデータを把握、記録し、事例ごとに異なる民具の保存・活用に向けた課題について把握・検討することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により出張等を原則行えない期間があったが、珠洲市と輪島市においては現地調査をそれぞれ短期間で集中的に行うことができた。奥州市では、別の関連する研究プロジェクトと並行して実施していたこともあり本研究のための現地調査については新たに進めることができなかったが、市の教育委員会や関連施設との研究協力関係は継続できており、今後の調査の実施についても協議を進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、研究対象地域における民具の情報・データを公開し、民具の保存・活用、特に緩やかな保存について、地域の様々なアクターと実践し検討し共有していくためのイベント等の企画・開催等を通し、検討・実践を行う。 珠洲市においては、芸術祭で収集された民具の情報公開と緩やかな保存について芸術祭実行委員会や教育委員会、地域住民らとともに検討し実践していく。輪島市においては、旧市立民俗資料館の民具コレクションの情報・データの記録を完了させ、資料館時代の情報とリンクさせる形での公開を行うとともに、地域住民や関係者らと今後の民具の保存・活用について考えるワークショップを開催する。奥州市では、市域内の民具コレクション全容把握調査を実施し、民具情報の記録・公開の現状の把握と新たに記録・蓄積すべき情報の検討を行い、資料情報の公開を進める。さらに、市域に点在する民具コレクションをいかに保存・活用していくかの検討を地域の関係者とともに行っていく。 これらの現地調査や取り組みを通して、地域民具コレクションの整理手順・公開のモデル化に向けた考察を行う。民具の「緩やかな保存」の実践と資料情報・データの公開についてはその内容や持続性に関する評価を順次行っていく。そうした研究成果について、国内外での学会や学術雑誌等での発表を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で1~3月に予定していた出張を延期したため、次年度に持ち越すこととした。当該助成金を用いて延期した出張を次年度に行うことを計画している。
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Research Products
(5 results)