2023 Fiscal Year Research-status Report
ミエン(ヤオ)の歌謡の歌謡語・修辞法・歌詞の旋律配置・応用に関する総合的研究
Project/Area Number |
21K01078
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
吉野 晃 東京学芸大学, 教育学部, 名誉教授 (60230786)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ミエン / 歌謡 / ミエン歌謡語語彙 / ミエン口語語彙 / 儀礼テクスト / 定詞歌 / 即興歌 / 語彙素性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、タイへ調査に出かけることが可能となり、(1)新たな定詞歌(既存の歌詞がある歌)の歌詞の蒐集・発音・解釈・語彙素性分析、(2)女性シャマンが歌を使う儀礼の観察記録、(3)以前蒐集した即興歌の歌詞の発音と意味の確認と語彙素性分析、(4)即興歌の記録、(5)歌謡語語彙の抽出といった作業を行った。これらは主に現地調査の形で行った。6月と9月には、ナーン県のミエン村落で(1)新たな定詞歌の歌詞「趙富安旺的歌」を蒐集し、発音と意味の確定作業と語彙素性の分析を行った。それに加えて以前蒐集した「五月捨傳出来的歌」の発音の確定と解釈作業・語彙素性分析も行った。「趙富安旺的歌」と「五月捨傳出来的歌」は紀要等に発表した。また、別の定詞歌「伯偕趙氏劉氏古圖」を蒐集した。11月から12月にかけては、パヤオ県のミエン村落で(3)即興歌の歌詞を蒐集し、(4)即興歌の発音確定と解釈の作業を行った。それに加えて、比較的簡易な儀礼のテクストを分析し、簡易な儀礼のテクストに歌謡語語彙が多くふくまれていることを確認した。この作業結果も発表した。2024年2月にはチエンラーイ県のミエン村落で(2)女性シャマンが歌を使う儀礼を観察し、その儀礼執行状況の変化を確認して、映像を記録した。 定詞歌の蒐集と発音・意味確定・語彙素性分析作業と歌謡語語彙抽出は順調に進んでいる。しかし、昨年度前半まで現地調査不可能であった事態を反映して、即興歌の蒐集と発音・意味確定の作業が遅れている。これらが完了しないため歌詞の旋律配置や韻律の分析に至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上に述べたように、定詞歌の蒐集と分析は進んでいるが、即興歌の蒐集と分析が遅れている。2021年度~2022年度前半にかけて新型コロナウィルスによる日泰両国における入国制限のため、現地調査に行けなかった。これは即興歌の歌詞の採集に大きな遅滞をもたらした。 定詞歌(既存の歌詞がある歌)は、漢字で書かれた歌詞テクストを写し、発音を記して解釈を施せば良いのであるが、即興歌の場合は既存の歌詞がなく、歌の音データから歌詞の発音を聞き取り、更にそれに基づいて歌詞の文字起こしを行い、意味を確定してゆくため、最初のデータ記録から数度の現地調査による確認作業が必要となる。これを1年半行えなかったのは、大きな痛手であった。現在は上記の発音の確認と文字起こしを行っている段階であり、論文等に発表できる段階ではない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は定詞歌の歌詞蒐集と発音確定・解釈の作業を進めるとともに、即興歌の発音確認・文字起こし・解釈作業を進める予定である。特に後者は先に述べたように、甚だしく遅れているので、全力を尽くして回復するように調査する
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Causes of Carryover |
2022年度前半まで海外調査に行けなかった為、旅費の支出が減り、それを2023年度まで持ち越した。2023年度は旅費の支出は順調であったが、物品費などの支出が減り、結果として次年度使用額が生じた。この使用額は主に旅費として用いる予定である。
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Research Products
(3 results)