2021 Fiscal Year Research-status Report
A Study on the Practice in the Components Possession Area of "Hidden Christian Heritage Sites"
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21K01083
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
才津 祐美子 長崎大学, 多文化社会学部, 教授 (40412613)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 潜伏キリシタン関連遺産 / 文化遺産 / 世界遺産 / 構成資産 / 生きている遺産(リビングヘリテージ) |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年に世界遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、12の構成資産のうち8つが「集落」であるという特異な文化遺産であり、まさに「生きている遺産」そのものである。本研究の目的は、この「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を事例として、世界遺産登録後の構成資産保有地域における実践について明らかにすることである。 2021年度の研究実施計画では、①各構成資産の維持管理体制や少子高齢化の現状、観光客入り込み数の変化、各構成資産の維持管理体制等に関する聞き取り調査を行政(長崎県、長崎市、五島市)の担当部署に行うとともに、文献資料を収集する。②新型コロナウイルスの感染拡大状況に注意しながら、長崎市外海地区で聞き取り調査を行う。③図書館やインターネット等で先行研究に関する文献資料調査を行う。の3つを平行して行う予定だった。 このうち①と②の聞き取り調査に関しては、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けつつも、可能な範囲で実施した。具体的には、長崎県文化観光国際部世界遺産課への聞き取り調査と長崎市外海地区(構成資産「外海の出津集落」および「外海の大野集落」)に暮らす人びとへの聞き取り調査を行った。③に関しては、書籍の購入や論文の複写等を行い、ほぼ計画通り遂行することができた。 また、本研究に関連するものとして、才津祐美子2021年「観光都市長崎の原点-キリスト教と長崎」(『地図情報』41-1、pp.8-12)、才津祐美子2021年「長崎の世界遺産-『潜伏キリシタン関連遺産』の問題点と今後の課題-」(増崎英明編『今と昔の長崎に遊ぶ』九州大学出版会、pp.241-261)を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要でも述べた通り、2021年度の研究実施計画では、①各構成資産の維持管理体制や少子高齢化の現状、観光客入り込み数の変化、各構成資産の維持管理体制等に関する聞き取り調査を行政(長崎県、長崎市、五島市)の担当部署に行うとともに、文献資料を収集する。②新型コロナウイルスの感染拡大状況に注意しながら、長崎市外海地区で聞き取り調査を行う。③図書館やインターネット等で先行研究に関する文献資料調査を行う。の3つを平行して行う予定だった。 しかし、①と②の聞き取り調査に関しては、新型コロナウイルス感染拡大のために限定的なものとなってしまった。したがって、研究の進捗状況としては「やや遅れている」といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もまずは、①各構成資産の維持管理体制や少子高齢化の現状、観光客入り込み数の変化、各構成資産の維持管理体制等に関する聞き取り調査を行政(長崎県、長崎市、五島市)の担当部署に行うとともに、文献資料を収集する。②新型コロナウイルスの感染拡大状況に注意しながら、長崎市外海地区で聞き取り調査を行う。③図書館やインターネット等で先行研究に関する文献資料調査を行う。の3つを平行して行う予定である。 とりわけ新型コロナウイルス感染拡大のためにやや遅れている聞き取り調査については、状況を見極めながら機会を逃さずに実施したいと考えている。また、2022年度以降は長崎市外海地区に加えて長崎県五島市(構成資産「久賀島の集落」および「奈留島の江上集落(江上天主堂とその周辺)」)においても聞き取り調査を行う予定である。 以上の調査で得られた調査データおよび知見をもとに、2023年度に関連学会で発表するほか、報告書や論文を執筆する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大のため、現地における資料調査や聞き取り調査の機会が減少し、次年度使用額が生じてしまった。したがって、2021年度に実施できなかった調査は2022年度の調査に加えて行うこととし、助成金は旅費や現地における資料の購入および複写、聞き取り調査で得た資料の文字起こし等の費用として使用する予定である。また、この他、研究関連書籍・資料の購入や複写、資料整理に必要な物品の購入にも使用する。さらに、学会が対面で開催される場合は、その旅費も支出予定である。
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