2023 Fiscal Year Research-status Report
Religious Practices of Holy Objects and their Ongoing Unfoldment: Focusing on Changes in Processing Technology and Disposing Ways
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21K01091
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Research Institution | Koshien University |
Principal Investigator |
藤原 久仁子 (森田久仁子) 甲子園大学, 栄養学部, 准教授 (00464199)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 聖人崇敬 / モノ / 地中海マルタ / 聖遺物 / 加工 / 廃棄 / カトリシズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、マルタにおいて主にふたつのテーマを念頭に調査を行った(①聖人・聖遺物信仰とモノの生産・流通・消費・廃棄の流れに関する調査)、②死者をめぐる民俗信仰と実践に関する調査)。また、クロアチアにおいて、聖ヨセフや聖アントニオ等の信仰実践に関する調査を短期間ではあるが実施し、聖人信仰と聖女信仰を比較する視点を得ることができた。また、国際学会(於・メジュゴリエ)や国際セミナー(於・一橋大学およびマルタ大学)で発表を行い、聖なる場所の単なるモノが聖化していく過程について報告を行った。さらに、『世界の冠婚葬祭事典』(丸善出版)では「南欧」の項目の執筆を担当し、出産・結婚・離婚・葬送について、現代社会に息づく伝統と樹木葬等の新たな展開について報告した。また、聖なるモノをめぐる信仰実践に関する英語論文を2本発表した。加えて、今年度はマルタ大学の島嶼研究所や地中海研究所に所属する現地研究者や調査協力者と交流を深めることができ、今後の国際共同研究や本の出版計画について進展させることができた。 このように、今年度は現地調査、文献研究、研究発表、論文執筆、国際共同研究の枠組みの構築を行ってきたが、調査に関して、モノの加工技術に関して見えてきた部分がある一方で、廃棄の実態を明らかにするまでには至らなかった(制度化された語り口と実態が異なると感じているが、実証するに至っていない)。この点についてさらなる調査を行うことが次年度の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、聖なるものの生産から消費、廃棄処分までの流れをマルタにおける現地調査によって明らかにし、①環境に対する罪意識や、②聖像や聖なるモノ・グッズの生産者だけでなく加工業者や廃棄業者の存在を踏まえた分析を行うことにより、従来の聖人・聖遺物研究に対して新たな視点を提供すること、及び、喜捨、贈与、廃棄をつなぐ「処分の人類学」という新たな研究領域を開拓することを目的としている。 この目的に照らして考えたとき、廃棄に関する調査が未だ不十分であり、マルサスカーラの処分場や聖なるモノの修復アーティストに対する調査等を行う必要があると考えている。また、聖なるモノを構成する素材のトレンドを踏まえた問題設定の必要性も感じているため、最終年度はこれらを念頭にマルタで追加調査を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前期授業期間:4月から7月は文献レビューと論点の整理を行う。夏期:8月にマルタで聖なるモノの廃棄をめぐる調査を実施する。後期授業期間:9月から1月は調査データの分析と論文執筆を行い、学会誌に投稿する(日本語)。春期:地中海カトリシズムに関する国際学会でマルタを事例に発表する(英語)とともに、4年間の研究の総括を行う。
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Causes of Carryover |
マルタ大学のセミナー(招待講演)の時期に合わせて現地調査(マルタ)を行ったため、往復旅費の全額と滞在費の一部がかからなかった(マルタ大学とグローバル地中海プロジェクト費から支出された)。このため、想定よりも旅費を抑えることができ、次年度に追加調査を行うための予算を確保することができた。
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