2022 Fiscal Year Research-status Report
ロシア統治下サマルカンドにおけるイスラーム法廷とロシア法廷
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21K01100
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
矢島 洋一 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (60410990)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 中央アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、帝政ロシア統治期の中央アジアにおける裁判記録を可能な限り網羅的に検討することを通じて、当該時期のイスラーム法廷とロシア法廷との関係を明らかにすることを目指すものである。本年度は予定していたウズベキスタン共和国中央国立文書館での調査を行うことができなかったため、(1)既に取得済みの資料の整理と分析、(2)古文書学的観点からの比較研究、の二点を主に行った。(1)については、昨年度に引き続いて、当該時期サマルカンドのロシア法廷(州法廷・管区法廷)において扱われたムスリムや非ムスリムのマイノリティーを当事者とする事件について、ロシア法の適用の観点から検討しつつ裁判事例の蓄積を進めた。(2)については、ロシア統治期前の中央アジアにおける文書の様式について研究を行った。その成果として、(i)一九世紀前半のユダヤ人関係ペルシア語法廷文書例について中央アジア古文書研究セミナーにて報告し、(ii)20世紀初頭に大谷探検隊が将来し現在韓国国立中央博物館が所蔵している13~14世紀のテュルク語文書群のテキストと訳注を同博物館の出版物に発表した。本研究が対象とするロシア統治期の中央アジア法廷文書・法廷記録は、ロシア帝国内の他地域といういわば横方向での比較と、中央アジア内の他時代という縦方向での比較によってはじめてその特徴が明確になるものであり、その観点から得られた知見を今後本研究の対象地域・時代に適用していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた海外調査は行うことができなかったものの、既に入手済の資料の整理・分析等により研究に十分な進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もウズベキスタン共和国での調査が実施できない可能性があるため、当面は取得済資料の分析作業を中心に行う予定である。
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Causes of Carryover |
当年度の未使用分は物品費として使用する予定だったが、急ぎ必要とする物品はなかったため、次年度に繰り越した方がより有効に使用できると判断した。繰り越し分は、次年度の旅費や物品費の一部として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)