2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K01104
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
金山 直樹 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 名誉教授 (90211169)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ポルタリス / 民法典 / 近代法 / フランス法 / 民法 / 立法 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝心の『民法典序論』の翻訳の刊行の見通しがつかない状況であったが、複数の出版社と口承した結果、日本評論社から出版できることになった。同社からは、2023年度中に刊行される予定である。その間に、翻訳および訳注を全面的に見直すとともに、刊行版に付ける「解説」の内容を充実させることに努めた。そのため、関係する文献をほぼすべてを消化し、法制史のみならず、広くフランス史についての知見を広めるとともに、ポルタリスに多大な影響を与えたルソーおよびモンテスキューの思想との関連についての研究を進めた。 シンポジウムに向けて発足した「ポルタリス研究会」は、定期的に開催され、ゲストを呼ぶなどして、法制史学会での発表に向けての準備を進めた。法制史学会でのシンポジウムが、予定していた2023年度にではなく、2024年度になったため、かえって多くの準備研究会を重ねることができた。 なお、申請者自身、2023年4月から、パリの国際大学都市にある日本館に館長として赴任することになった。そこで、2022年度に予定していた現地調査については、館長職を始める直前の1週間に時期を設定し、集中して行った。破毀院、国民議会、コンセイユデタ、学士院などの図書館、および、国立公文書館を順次訪問して、民法典草案の正式初版、および、ジャックミノ草案の刊行時期の特定を試みた。 また、2023年度開催の上記シンポジウムに向けて、アルペラン教授と具体的な話を進め、5月20日ころから来日し、シンポジウムの開催地だけでなく、東京・仙台・札幌でも講演会を開催する方針を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
翻訳を出版してくれるところがなかなか見つからなかったため。とくに、I社には、社内的な検討のため、1年近くまたされたあげくに、出版しないとの回答を得たが、それによって半年が失われたに等しかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年4月1日から、パリの日本館館長に就任したので、その地の利を活かして、研究活動に邁進したい。すでに担当する司書の方々ともメールが通じるようになったので、未だ確たることは言えないが、今後は、国立図書館も含めて、アクセス可能なすべての資料を閲覧して、当面の課題を処理したい。 また、研究協力者のアルペラン教授とは、日常的に接触することができるので、これまで溜まっている疑問点を一つ一つ示して、ポルタリスの論の理解を深めたい。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で十分な活動、とくに対面研究会を実施することができなかったために残額が生じた。もっとも、申請者のパリへの転任のため、今後も対面研究会は開催することはないと思われる。次年度においては、それに代えて、パリでの徹底した原典調査を行うとともに、アルペラン教授との打ち合わせを綿密に行う予定である。それとともに、パリにおいては、イナルコ教授の小沼イザベル教授にも研究に協力してもらうことになっている。
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