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2022 Fiscal Year Research-status Report

The Role of Freed Slaves in Roman Law of Contract

Research Project

Project/Area Number 21K01114
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

五十君 麻里子  九州大学, 法学研究院, 教授 (30284384)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords解放奴隷 / 委任 / ローマ古典法
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、契約法分野で解放奴隷が登場する法文において、解放奴隷が元主人に提供すべき労務(opera)が目的となる事例や恭順義務を扱う事例を扱っていない法文、とりわけD.16,3,1,14、D.17,1,12,8に注目する計画であったので、本年度はこれらの法文を集中して検討し「庇護と自立のはざまでー古典期ローマ法における解放奴隷と委任に関する一考察(法政研究89-3)を執筆した。
この研究を通じ、1)D.3,5,30 pr.によると解放奴隷に委任することは一般的であったことがうかがえること、2)委任を扱う学説彙纂の章であるD.17,1において解放奴隷が委任契約の当事者として現れる法文はD.17,1,12,8の1法文しかないこと、3)他方、D.16,3,1,14では元主人が受任者に解放奴隷との取引を委任していること、4)同様に委任者が第三者との取引を受任者に依頼する法文はD.17,1に多く存在すること、が判明した。このことから、法史料にopera関連以外での解放奴隷の言及が極めて少ない理由を、解放奴隷が市民として完全に統合されていたことに求める端緒を得ることができた。
さらに、これらの法文の分析を通じ、元主人と解放奴隷の関係として、解放奴隷が1)元主人から完全に独立して取引を行う例、2)元主人の事務を解放奴隷が独立の主体として行う例、3)独立して取引を行うも元主人の保証を得る例、4)一時金を受け取って独立する例、5)元主人の履行場所となっている例、が見出された。法史料を用いたこのような研究は、管見の限り、世界的にも例がない。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

昨年度は、本研究の過程で、研究計画にない重要な発見があったため、計画の遂行を中断していた。本年度は本来の計画に戻り、昨年度の分も取り戻す研究を行うことができた。

Strategy for Future Research Activity

ユスタ事件に関する論考が、ローマ法分野では世界最高峰であるサヴィニー雑誌に掲載される予定であり、そのフォローを行う。また、法史料における解放奴隷への言及が少ない理由を探る端緒を得ることができたので、これをさらに発展させる予定である。

Causes of Carryover

2021年度はCOVID-19の影響で予定通りの予算執行が不可能であったため多額の残が生じた。これを、2022年度の単年度で使い切ることはむしろ不適切であると判断し、2023年度の最終年度にも持ち越すこととした。2023年度は従来通りの出張が可能になるものと予想され、旅費の執行を予定する。また、2022年度にPCを購入したが、一部関連機器がこれに対応していないため、これらの購入に充てて、研究環境を充実させる予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results) Presentation (1 results) Funded Workshop (1 results)

  • [Journal Article] 庇護と自立のはざまでー古典期ローマ法における解放奴隷と委任に関する一考察2022

    • Author(s)
      五十君麻里子
    • Journal Title

      法政研究

      Volume: 89-3 Pages: 27-37

    • Open Access
  • [Presentation] ius/lex2023

    • Author(s)
      五十君麻里子
    • Organizer
      日本ローマ法学会
  • [Funded Workshop] ドイツ法史家大会2022

URL: 

Published: 2023-12-25  

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